不吉な予兆
公開日: 本当にあった怖い話 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
熊本県に根を持つ我が母の実家について語ります。この家は、長年母の姉が住む家でしたが、彼女が先日訪れた際の出来事があります。
我々が家族で集まり、映画『ターミネーター2』の壮絶なシーンに見入っていたところ、突如、核爆発に巻き込まれる子供たちを描いた想像のシーンが流れました。
その光景に対し、「一瞬にして肌も剥がれ落ちてしまうのだね、恐ろしい」と会話が及びました。それに対して、伯母はテレビを見ながら、思わぬ衝撃的な言葉を漏らしました。
伯母の長女が最近、双子を出産したばかりでした。とても華奢な彼女が難産の末に、早産を余儀なくされて入院していたのです。幸い今は母子ともに健康ですが、初孫の誕生を心待ちにしていた伯母は、その時期、心配のあまり眠れない夜を過ごしていたとのこと。
ある日の夕刻、病院からの帰宅後、伯母のもとへ幼馴染から電話がありました。この幼馴染は昔は近所に住んでいましたが、遠くに引っ越してしまい、長らく連絡が途絶えていた人物です。
にも関わらず、この電話に伯母は心から喜び、旧友と近況を交わそうとしたその瞬間、幼馴染は思いがけない宣言をしました。
「Kちゃん(伯母の名前)、私今は神様をしているの。多くの人を救っているわ。Kちゃんが困ったら、いつでも電話して。助けられると思うわ」と、昔のように明るい声で彼女は言い放ちました。
伯母はその普通さに面食らいながらも、「ああ、そう」と答えるのがやっとでした。
しかし、その晩、自身の娘とこれから生まれる孫を案じながら、疲れ果てていた伯母は、「もしかしたら、これは何かの縁かもしれない」と、助けを求めることを考えたのでした。そんな希望に心を寄せることで、久しぶりに安らかな眠りにつくことができたのです。
しかし伯母の夢には、娘と幼馴染が現れました。娘は不思議にも妊娠していない姿で、三人で楽しく遊ぶ夢でした。幼馴染は満面の笑顔で、お花畑での幸せな時間を共有していました。
彼女らはマリを使って遊んでおり、伯母に向かってマリが飛んできました。伯母はそれを胸で受け止めた瞬間、マリの中から皮が剥け落ちるように、溶けかけた幼虫のような生物が現れました。
伯母は反射的に悲鳴を上げましたが、その幼虫は絡みついて離れず、伯母は娘ではなく、幼馴染の方を見ました。しかし、幼虫は放り投げることができず、その間に幼馴染は子供のような笑い声と共に狂気じみた笑いを浮かべていました。
その目は黒々としており、穴が空いているかのようでした。幼虫の鳴き声と幼馴染の笑い声が重なり合って響き渡りました。
伯母は汗だくで飛び起きたのです。そして彼女は悟りました。「あの幼虫は赤ちゃんだったのだ」と。赤ちゃんと認識するには理由はありませんでしたが、不吉な感じがして、その後怖くなり、幼馴染に連絡を取ることができなかったのです。
その後、何とか子供は無事に生まれ、電話のことはすっかり忘れていました。
それから日が経ち、ふとしたことからテレビのワイドショーで、伯母の幼馴染の名前と、憔悴した老婦人の顔が映し出されました。以前、怪しげな新興宗教を信じた若い夫婦が子供の皮を剥いでしまい、それにより子が復活すると信じた事件がありました。その宗教の神様が、実は伯母の幼馴染だったのです。
かつて何不自由なく暮らしていたはずの彼女が、伯母に知らされていない10年の間に一体何を経験し、どのような変貌を遂げたのか。伯母は怖さよりも、その現実に涙を止めることができなかったのでした。
もしも伯母が彼女に相談していたら、どのような未来が待っていたのでしょうか。