指示された道

公開日: 心霊体験 | 怖い話

山道

去年の3月、高校を卒業して大学生活が始まるまでの間、私はひたすら友人たちと遊び歩いていました。

ある夕方、友人のAから突然電話があり、「暇だからドライブに行こう」と誘われました。彼の提案に最初は笑い飛ばして「野郎2人で夜中のドライブって何だよ」と答えましたが、Aはあきらめず「とにかく来い」と言いました。

何もすることがなかった私は、Aとの待ち合わせ場所へと向かうことにしました。到着すると、Aは親から借りた車で待っていましたが、驚くことに、彼一人ではなく、車内には知っている女の子が2人もいました。彼女たちは私たちと同じ高校の隣のクラスにいたB美とC子でした。

ファミレスで夕食をとりながら、私たちはどこへ行くかを話し合いましたが、特に目的地を決めずに「海を見に行こう」ということになりました。

車を走らせながら、楽しく会話をしていたとき、C子が突然自分の携帯を見て、「誰か止めてよー、こんなことするなんて」と言いながら画面を見せてきました。画面には文字化けしたメッセージが表示されており、「次の信号を右に曲がって!」という不可解な指示が書かれていました。差出人は「通知不能」となっていて、誰が送ったのか分かりませんでした。

私はそのメールを見ても特に気にせず、皆でその指示に従ってみることにしました。交差点で右に曲がり、しばらく進むと再びC子の携帯にメッセージが届き、「次の信号を左に」との指示がありました。私たちはその指示に従いながら、誰がこんなことをするのかと笑いながら「犯人探し」を楽しんでいました。

しかし、ドライブが進むにつれて、状況は次第に不気味なものに変わっていきました。道は人気のない山道へと変わり、車内の空気も重くなってきました。そんな中、私たちはメールの指示に従い続けましたが、Aの携帯にも同様の怪しいメッセージが届き始めました。

ついには、私の携帯にも「次のY字路を左に」というメールが届きました。その指定された道は明らかに普通ではなく、カーナビにも表示されていない真っ暗な林道でした。それを見た私たちは、進むのを躊躇いましたが、Aが突然車を進め始めました。

パニックになりながらも、私たちはその道を進みましたが、やがて車は止まりました。私たちは車外に出て辺りを見回しましたが、何も見えませんでした。しかし、不気味な静けさの中で、私たちの携帯は一斉に新たなメッセージを受信しました。

「今すぐこっちに来い、急げ」という内容に、私たちは急いで車に戻り、元来た道を引き返しました。その後、近くの神社で御祓いをしてもらいましたが、あの夜の出来事の真相は一向に明らかにならず、ただただ恐ろしい記憶として私たちの心に残りました。

関連記事

しがみついて

3年前、家族でI県の海岸にあるキャンプ場に遊びに行った。キャンプ場は崖の上にあり、そこからがけ下まで階段で下りると綺麗な砂浜があった。 私達の他にもたくさんキャンプに来てる人がい…

第二次世界大戦(フリー素材)

再生

祖父が戦争中に中国で経験した話。 日本の敗色が濃くなってきた頃、祖父の入っていた中隊は中国の山間の道を南下していた。 ある村で一泊する事になり、祖父達下士官は馬小屋で寝る事…

峠(フリー写真)

夢の女と峠の女

俺は幽霊は見たことがないのだけど、夢とそれに関する不可思議な話。 中学3年生くらいの頃から、変な夢を見るようになった。 それは、ショートヘアで白いワンピースを着た二十代くら…

古民家(フリー写真)

木彫りの仏様

母方の祖母が倒れたという電話があり、家族で帰省した時の話です。 祖母は倒れた日の数日後、うちに遊びに来る予定でした(遠方に住んでいるため滅多に来ません)。 その遊びに来るこ…

九尾の狐

日本には狐の怪談が沢山残っている。その中で最も有名なのは「九尾の狐」ではないだろうか。 「九尾の狐」で有名なのは「白面金毛九尾の狐」三国随一の大妖怪と言われる程の実力。 古…

隠し部屋

20年以上前の話なのですが聞いてください。 友人が住む三畳一間月3万円のアパートに遊びに行ったときのことです。冬の寒い日でしたが、狭い部屋で二人で飲んでいるとそこそこ快適でした。…

沖縄の夕日(フリー写真)

霊感のある生徒

これから話すのは高校の先生から聞いた話。 先生が初めて担任を持った時、いつも窓の外を見ている生徒が居たらしい。 その生徒が関わる幾つかの体験をお話します。 ※ まずは何…

古い住宅(フリー写真)

きてください

私は編集者をしており、主にイベントや食べ物屋さんなどの紹介記事を書いています。 こちらから掲載をお願いする事もあれば、読者からの情報を参考にしたり、その他お店からハガキやFAX、…

小学校の廊下(フリー写真)

パソコン室の幽霊

これは俺が当時通っていた小学校の話だ。 俺はその日、パソコン室に筆箱を忘れた。それに気付いたのは六時間目が始まってから(その時間は隣の女子に鉛筆を貸してもらっていた)。 仕…

北アルプス(フリー写真)

呼ぶ声

先日、私と登山仲間の先輩とが、北アルプス穂高連峰での山行中に経験した話です。 その日は、穂高連峰の北に位置する槍ヶ岳から稜線を伝って奥穂高岳へ抜ける縦走ルートを計画していました。…