霊感のある生徒

沖縄の夕日(フリー写真)

これから話すのは高校の先生から聞いた話。

先生が初めて担任を持った時、いつも窓の外を見ている生徒が居たらしい。

その生徒が関わる幾つかの体験をお話します。

※

まずは何故外を見ていたか、からの体験談。

その生徒は授業中、いつもひっきりなしに窓の外を見ていた。

当初は『変な子だなあ』と思ったくらいで、特に気に留めなかったそうだ。

学校始めには必ずある家庭訪問で、その生徒の家にも当然行った。

お母さんはその生徒と一緒ににこやかに迎えてくれて、色々と話した。

私はその時、ふとその子の行動を思い出して生徒に質問してみた。

すると生徒は、

「だって向かいのマンションに焼け焦げの女の人が居るから…」

と言った。

『えっ?』と思った私に、お母さんが

「この子、最近幽霊が見えるんですって」

と説明してくれた。

どうやらその子は、中学に上がったあたりから『普段見えない何か』が見えるようになってきたそうだ。

最初はおぼろげだったものが、年を重ねるにつれ段々見えるようになったらしい。

その子曰く、

「マンションに居る幽霊は昔火事で亡くなった人で成仏出来ていない。でも、こちらに悪さをするつもりはないから大丈夫だ」

との事だった。

これが一つ目に体験した話。

※

二つ目は、文化祭での話だそうだ。

先生のクラスは文化祭の出し物は縁日になった。

お化け屋敷という案も当然あったが、例の生徒がやめた方が良いと反対したらしい。

隣のクラスはお化け屋敷を企画していた。

準備期間で着々とお化け屋敷を作って行き、かなり本格的だったらしい。

だが、一時的に作った場所にも霊は呼び寄せられるらしく…。

準備3日目、例の生徒が隣のお化け屋敷を中止した方が良いと言い始めた。

明日が公開だというのにそんな事はできない。そのクラスの担任が何とか説得した。

半分折れた生徒は、

「せめてこの仏壇だけは外して下さい」

と言った。

それはある生徒が本格的に見せる為にどこかから拾って来た古い仏壇で、お化け屋敷コースのトリを飾る重要なものだったらしい。

だがそれも聞かずに担任は押し切った。

生徒は、

「何があっても知りませんよ」

とだけ言って不機嫌にクラスに戻った。

その日の午後。

お化け屋敷のクラスの担任が突然倒れて救急車に運ばれた。

原因は不明だったが、例の生徒は運ばれる先生を見ながら

「だから言っただろ…」

と呟いた。

前の件を知っていた先生はその子に「何があったの?」と聞いた。

原因はあの仏壇らしかった。

「あの仏壇には落武者の霊が見える。ただでさえ霊が集まっているのに危ない。あの落武者は怒っている」

という事だった。

担任が倒れた事で流石にまずいとなり、その仏壇は元に戻して文化祭を迎えたそうだ。

二つ目の話はここまで。

※

三つ目は、修学旅行での話。

学年が上がり、修学旅行の季節になった。

今年は沖縄に行くという事で、もちろん平和学習も日程の中にあった。

沖縄に修学旅行で行く学校の殆どは、塹壕の見学も取り入れているだろう。

その学校も塹壕の見学があった。

壕に入る時、例の生徒は

「ここ、危ないです」

と強張った表情で言った。そして、

「先生、僕は一番後ろを歩きます」

そう言って入った。

塹壕は、戦争で亡くなった方の怨念が溜まって危険なのだそうだ。

怪奇現象もしばしば起こるらしい。そして今回も起きた訳で…。

ガイドが説明をしている時、先生の目の前にいる女子がふらふらと前後に揺れ始めた。

目が虚ろで焦点が合っていない。

『これってまさか……』と思った時、

「危ない!」

と後ろに居た例の生徒が飛び出し、女の子の腕を掴んだ。

その瞬間、女の子はつんざくような悲鳴を上げて倒れた。

辺りは騒然。急遽全員塹壕を出て、女の子の介抱をした。

女の子はすぐに意識を取り戻して、泣き始めた。

女の子曰く、急に意識が遠のいて引っ張られる感覚がしたそうだ。

先生は例の生徒に、

「何で後ろに居たのに分かったの…?」

と聞いたら、女子の肩の方から何本もの腕が伸びるのを見たそうだ。

それであっちの世界に引き込まれると思い、咄嗟に掴んで引き戻したそうだ。

更には、何で一番後ろを歩いてたかも教えてくれた。

生徒の列に続いて、戦争で亡くなった方たちが這いずりながら付いて来ていたのだという。

危害を加えられたらいけないから、霊感のある自分が盾になったらしい。

「もっとも、被害者は出てしまいましたが…」

彼はそうポツリと呟いた。

三つ目の話はこれで終わりです。

※

ついでに後日談。

18歳の時が霊感のピークだったらしく、卒業したらパタリと霊を見なくなったらしいです。

現在は普通に社会人として暮らしているそうです。

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