二階の窓から

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

125049816478116415205_IMG_6344HDR

俺は昔、有名な某古本屋でバイトしていました。

お客の家に行って古本を買い取る買取担当が主な仕事です。それである日、一軒の買取の電話が店に入りました。

そこは店からだいたい車で20分ほど南に行ったある一軒家で、俺は日にちを決めてそこへ伺う事になりました。

当日になって俺はもう一人の買取担当のF君とワゴンでその家に向かいました。でも、教えられた住所へ行ってみたんだけれど家が見つからない。

教えられた場所にはその家がありませんでした。

細かく説明すると、教えられた場所には空家があるだけで、仕方ないからその空家の向かいにある駐車場にワゴンを停めて俺一人でその空家を見に行きました。

その空家は長方形の建物で、下(一階)は何か店みたいな造りをしてたけど、シャッターが閉まっていて中の様子は見えませんでした。

そこには外から二階に行く階段がありました。でも階段は分厚い板で仕切られおり、そこから上には行けないようになってます。

周りも草がぼうぼうで伸びっぱなし。二階の窓から見える中の様子も何だか荒れてる様で、内心『帰ろうかな…』と思いました。

『まいったな…。こんなとこ絶対に人住んでないぞ!!』

内心そう思いながらも、とりあえずその家の隣にあるクリーニング屋で聞いて見る事にしました。

「すいません、この住所って隣の家で合ってます?」

と、クリーニング屋のおばちゃんに聞いてみると、

「あ~、この住所はここから斜向かいの○○さんの家だね」

「え、隣じゃないの?」

「何言ってんの、隣はずっと前から空家だよ」

「えっ、空家!?」

「そうよ。隣は1年前ぐらいから誰も住んでないわよ。二階にも上がれないでしょ?」

確かに二階には板張りが…。

俺はその時なんだか嫌な感じがしてきたのですが、仕事なので店に帰る事も出来ません。

取り敢えず住所の間違いも分かり、ほっとした俺はF君のいるワゴンへと戻り、 ドアを空けて中で待っているF君に事情を説明しました。

「だからね、間違いだったんだって♪ ほんとはここじゃなくて斜向かいの…あの家が○○さんの家だってさ!!」

ところが彼は俺の説明を不思議そうな顔で聞いてるだけでした。俺はどうして彼がそんな顔をするのか分からず、少し怖くなりました。

そして彼はとんでもない事を言い始めました。

「え、何言ってるの? お客の家ってそこの空家みたいなとこでしょ?」

「違うよ!ここから斜向かいのあそこの家だってよ」

「はあ? そんなはずないよ、だってお客さん待ってるよ?」

俺は『こいつ何言ってんだ?』と思ったけど黙っていました。

凄く嫌な感じがしたから。

「なんであそこがお客の家なの? 空家だよ?」

「だってねぇ、○○さん(俺の名前)、俺ずっとあの家見てたけど、さっきからおじいさんが二階の窓から俺達を見てたんだよ? カーテン越しにず~っと!!」

俺はそれを聞いて急いでエンジンをかけようとしました。

「馬鹿おめぇやべぇぞ!!あそこは二階には上がれねぇんだよ!!」

俺はもう怖くてセルも上手く回らないほど焦っていました。

でも、F君は

「何してんの? 居たんだって。早く行こうよ」

と俺を誘います。

もう怖くて怖くて急いでそこから離れ、斜向かいのお客さんの家に飛び込みました(仕方ないので仕事もキチンとしました)。

その間もF君は、

「ホントに俺らの事見てたんだって。あそこ人住んでんだよ」

と繰り返してました。

俺は何も聞こえないフリをして仕事を終えると、すぐに店に帰りました。未だにあそこに居たそのじいさんってのが誰だったのか判りません。

どうして最初にあの場所に行ったのかも…。

関連記事

夜のアパート(フリー写真)

リビングの物音

2年程前に体験した話です。 僕は当時、一人暮らしをしていました。 借りていたアパートは1LDKで、リビングとキッチンの両方にテレビがありました。 平日は会社から帰ると…

しりとりをしてみようか

ずいぶん昔の話。 ラジオ番組の録音を聴きたくて、友達にカセットテープを借りた。 お目当てのラジオ番組を聞き終わったものの、いちいち停止ボタン押すの面倒で、テープが最後まで再…

出ると噂されているホテル

仕事で地方へ行く用事が出来て、時間の関係で前の晩に新幹線に乗り一泊することになった。 それで、同僚と話している時に予約したホテルの名前を言ったら、 「お前知ってる? そのホ…

旧東海道・関宿の町並み(フリー写真)

布団から聞こえる声

この話は母から聞いた話で、その母も祖母から聞いた話だと言っておりました。 北海道のB町の近くの話。戦前か戦後、この辺りの話だそうです。 ※ この頃は物資が少なく、布団を買うに…

杉沢村

某県八○田山系の裾野に杉沢村という小さな村があった。 ところがある日、この村に住む一人の男が突然発狂し、住民全員を手斧で殺害。 犯行後、男もまた自らの命を絶ってしまったため…

落ちるおじさん

先日、大学の同期の友人と久々に食事した時の話。 友人は大阪に出て技術職、私は地元で病院に就職しましたが勤めている病院は古く、度重なる増改築で構造はぐちゃぐちゃ。 たまに立ち…

零

ホラーゲーム『零』シリーズと実際に起きた怪奇現象

ホラーゲームの金字塔とも言える『零』シリーズ。 その制作現場では、ゲーム内の恐怖を凌駕するような、実際の怪奇現象が数多く報告されていました。 そして、それらの出来事は“創…

ハコマワシ(長編)

半年くらい前、怖い体験をした。心霊現象ではないが、かなり気持ち悪い体験だ。長くなると思うから適当に読み流してくれても構わない。 中学生だった頃、俺のクラスに霊感少女がいた。家が神…

トンネル(フリー写真)

幽霊トンネル

実際私の身近に起こったお話をします。 私は当時クラブに通う女子高生で、学校の友達よりクラブで出来た年上のお姉さんやお兄さんと遊ぶ方が好きな子でした。 その時のお兄さん達に起…

ビーチ(フリー写真)

楽しそうな笑み

奄美のとある海岸でビデオ撮影をした時の話。 俺の家族は、全員が思い出に残るようにと、ビデオカメラをスタンドに固定して撮るんだよ。 その日もそうしたまま、兄弟で海に入り遊んで…