置いていかないで

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

3

友達(A)から聞いた話。

Aは学生時代、友人Bと他県の教習所に通っていた(なぜ他県かというと、県内で免許を取ると学校にばれるから)。

その教習所で、地元の女の子2人組、C子とD子と仲良くなった。

教習所に通っている間、いつも4人で遊んで仲良くやっていたが、AとBには地元に付き合っている彼女がいた。

C子とD子とはその場限りの遊びのつもりだったので、免許が取れた後はすっかり会わなくなった。

何度か電話がかかってきたが、居留守を使ったりして話す事すら無かった。

それから暫くして、Aの夢の中にC子が出てきた。C子はうつむいて、

「もっと沢山遊びたかったのにねー…せっかく仲良くなれたのにねー…」

と呟きながら消えていった。

AはC子に何かあったのかなと思い、C子に電話してみたが繋がらない。

D子にも電話しましたが、こっちも繋がらない。

連絡が取れないなら仕方ないと、あまり気に留めていなかった。

それかまた暫くして、D子から電話がかかってきた。D子は沈んだ声で言った。

『C子死んじゃった…』

なんでも、2人で歩道を歩いていたら、そこに居眠り運転のトラックが突っ込んできて、C子は即死、D子も意識不明の重態に。

幸いD子は順調に回復し退院となったが、退院してすぐC子が亡くなった事を聞かされ、なぜ自分だけが助かってしまったのかと、半ばノイローゼ気味になっていた。

Aはこの事をBにも話さなきゃなーと思っていた矢先、別の友人からBがバイクで事故ったと聞かされた。

前の車を追いこそうと反対車線に出たところ、対向車と正面衝突。Aは急いで病院に行ったが、Bは意識不明のまま1週間後に亡くなった。

AはBが死んだ事をD子に話すべきか迷ったが、4人のうち2人が死んでしまい、少し心細かったせいもあり、D子に電話してみた。

しかし、またしてもD子の電話が繋がらなかった。不安になったAは、D子の実家に電話をかけたところ、D子は行方不明となっていた。

ちょうどC子の事で電話をかけてきたすぐ後から。

この時からAは少しおかしくなってしまった。なぜ自分だけが今生きているのだろう。皆に申し訳ない。そんな思いに毎日押しつぶされそうになっていた。

その後。何日間かの記憶はもうろうとして、はっきりと思い出せなかった。その何日間かの出来事を母親が教えてくれた。

Aはすっかり生気をなくし、食事もろくに取らず部屋の篭りっきりだった。

ある日、Aが部屋から出てきて、

「かーちゃん。友達が来てるから、お菓子持ってきてよ」

と言いながら、ジュースとグラスを4つ持って部屋に戻っていった。

母親は『いつの間に来たんだろう』と思いながらも、お菓子を持ってAの部屋に。

部屋のドアを開けると、誰もいないテーブルにジュースの入ったグラスが4つ。

窓の方に目をやると、Aが窓から身を乗り出し、今にも飛び降りそうになっていた。Aの住んでいるマンションは8階で、落ちたら即死である。

母親は慌ててAをつかみ、部屋に戻そうとした。

Aは「みんな待ってくれ!俺を置いて行かないでくれ!」と叫びながら、宙に手を伸ばしていた。

なんとか部屋に引き戻したものの、同じ事が何日も続いた。

さすがの母親もこれにはまいり、人づてで結構有名な霊能師を紹介してもらい、御祓いをする事になった。

霊能師によると、

「成仏しきれない霊に、もう少しであの世に連れて行かれるところだった」と。

それからAは正気を取り戻し、現在に至る。

しかし、この話の最後にAは言った。

「D子は未だに行方不明だけど、もう死んでるよ。だって、時々3人で来るから…」

関連記事

最後の疑問

最近友人は 2ヶ月間タイに行ってきた。 まあ、日本円で千円も出せば一泊できるような安宿に泊まったらしい。 どこの国でもそうなのかも知れないが、やはり日本人旅行者は狙われる。…

占い師

昔、姉夫婦と私と彼氏の4人で食事した帰りに『この悪魔!!!』って女性の叫び声が聞こえた。 声のする方向を見ると、路上で占いしてる女性が私に向かって指を差して『悪魔!!悪魔ああああ…

自衛隊駐屯地の恐怖体験

私が新隊員教育でとある駐屯地にいた時の話です。ありがちな話かもしれませんが、どうかご容赦下さい。 自衛隊には営内点検と言うものがあります。部屋の使用状況(物品の有無、整理整頓、清…

杉沢村

某県八○田山系の裾野に杉沢村という小さな村があった。 ところがある日、この村に住む一人の男が突然発狂し、住民全員を手斧で殺害。 犯行後、男もまた自らの命を絶ってしまったため…

観音開きの蓋

私がまだ小さかった頃に体験した話です 好奇心旺盛だった私はよく馬鹿な事をして怪我をし、親に心配をかけるようなそそっかしい子供でした。 その当時、私と家族は10階建ての団地の…

自動販売機

赤いランドセルの少女

私の大学は結構な田舎でして、羽根を伸ばす場所がこれと言ってありません。 そういう事情に加え、学生の多くが車を所有していることもあり、必然と連れ立ってドライブに行くことが遊びの一つ…

振り子時計

柱時計のある家

中学生の頃、家が火事に遭いました。 全焼で家を失ってしまったのですが、父の商売の関係でどうしても同じ町内で家を見つけなければなりません。 新居を見つけるまでの間、私達は斜…

ホテル(フリー素材)

鶯谷のホテル

これは実際に体験した不思議な話です。 皆さん、鶯谷をご存知でしょうか? 山手線沿線でありながら最も人気の無いエリア。江戸時代にあった遊郭が今も尚息づくソープランド街「吉原」…

白虎隊

ある高校がF県に修学旅行に行ったそうです。 A君は友達数人で作った班で自由行動を楽しんでいました。 しかし、A君は慣れない土地のためか、班が一緒のB君とその班からはぐれてし…

星空の下(フリー写真)

白く光る顔

数年前、とある湖畔で朝釣りのためにキャンプをしていた時のこと。 夜中の焚き火中に、 「たすけてえええ!だれかあ!」 と女性の声が湖の方から聞こえて来て、そちらに目をや…