木更津古書店

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

482bd3911f557_1

これは自分の体験談という訳ではないんですが…。幽霊やなんかの仕業なのかもよく分かりません。

私も大分絡んではいるんですが、祖母の様子がちょっと変なんです。原因は判っています。一通の手紙。それも死者からの手紙と言えるのかな。いわゆる遺書ってやつです。

私は千葉の木更津で古書店を営んでいます。最近は漫画のスペースが大分多くなってしまいましたが、一応小説やなんかも扱ってます。

私が小説が好きなもんで。漫画は金のためにやっているようなもんです。「おいおい、商売なんだから!」なんて言われたりしてね(笑)。

その小説に半年ほど前、すごく嫌なものが挟まってたんですね。

遺書が。

よく分からないメモやなんかはよく挟まってるんですけどね。あと、現金なんかもたまに。

「ちゃんと、現金は返せ!」なんて野暮なことは言わないでくださいよ~。でもね、さすがに遺書は初めてでした。

遺書の内容は、もう手元にはないので正確ではないんですが、こんな感じでした。

「いつ何が起きても不思議ではないので、生きているうちに遺書を書いておきます。このあいだ、敬一が死んでしまった時に、自分が生きていることがすごいことなんだと思った。

それといつ死んでも不思議じゃないって思った。だから書いておきます。お父さん、お母さん、本当にありがとう。僕はお父さんとお母さんの子供で幸せでした。本当にありがとう」

これだけなんですけどね。

突っ込みどころは結構ありますよね。

本当に「それだけかい!」てのと「名前くらい書けよ!」、あとは「生きてるうちに書くのは当たり前だよ!」て感じですかね。

あと、これだけじゃ、これ書いた子、生きてるのか死んでるのか分かりませんね。本に挟んであるの忘れちゃったのかどうかしたのかもしれないし。

あ、この本はですね。

直接お客さんから買い取ったんじゃなくて、問屋さんみたいなとこから買ってきました。古本にも、問屋さんのようなものがあるんです。

それぞれの店が買い取ったもの全部さばききれるわけもないので、そういったものをまとめて買い取って、他のとこに売るんです。

だから、元々誰の本かは調べようがないんです。分かれば、生きてるか死んでるか調べられたんですけどね。

それでだ。

この遺書らしきもの見つけて、面白いものみつけたよって家族に見せたんですよ。そしたら、祖母がね。供養しなきゃ駄目だって。

お寺さんに持っていって拝んでもらえって言うんですよ。でもね、そんなの面倒じゃないですか。だから、行きたきゃ自分で行けって言ってやたんですよ。

でもね。

うちのばあちゃん、歩けないのよ、もう90過ぎてるし。家の中うろうろするぐらいはできるんだけどね。

そしたら、自分で供養するとか言い出して。やめとけっていったんですよ。そんなもん、素人がやるもんじゃないって。

それなのにね。ばあちゃん庭で火起こしてね。なんか、お経みたいの唱え出して。「なんみょうほうれーん」みたいの。

それで、お経を唱えながら、燃やしちゃったの。馬鹿だよねぇ、素人の癖に余計なことして。やめろっていったんですよ、ほんとに。何回も何回も。

その晩から。ばあちゃんの様子がおかしくなったの。夜中に、変な奇声をあげるんだよね。「あ~~~!」って。

部屋違うのに私の寝室まで聞こえてくるくらいの大声。あんなよれよれなのに、よくあんな声出るよなって位の大声。

私も負けずに向こうの部屋までとどくくらいの大声で「うるせー!」と言ってやると、ぴたっと止まるんです。

でも、そのうちそれがお経になったりしてきね。しばらくは、まぁ我慢できたんですけど。さすがに毎晩お経が聞こえてくると気味悪いでしょ。

だから、部屋まで行ってやめさせようと思ったんですよ。それで、部屋の前までいって、ふすまをバンって開けて「うるせぇんだよ」って言ったんです。

そしたらね、ばあちゃん布団の上で、お経唱えながら、なんつうんだろ。V字腹筋って腹筋の仕方あるでしょ。

気をつけした格好で、頭と足を同時に上げるの。それやってるんですよ。何回も、よく平気だなって思う位強い力で頭を上げたり下げたり。

だんだんだんだんって。そんで口からは「なんみょうほうれん」って。凄い力ですよ。90歳のばあさんができることじゃないから、きっと祟られてるんだと思います。

だから、何度も止めたのにね。皆さんも、素人が余計なことしちゃいけませんよ。

木更津の古書店主人からの、ちょっと怖い話と教訓でした。

関連記事

トンネル(フリー写真)

幽霊トンネル

実際私の身近に起こったお話をします。 私は当時クラブに通う女子高生で、学校の友達よりクラブで出来た年上のお姉さんやお兄さんと遊ぶ方が好きな子でした。 その時のお兄さん達に起…

アパート

霊に勝った男

大阪市西区、駅から徒歩五分という好立地にあるマンションに引っ越したのは、今から三年前のことです。 コンビニまでわずか一分という便利な場所にありながら、家賃はなんと三万円。あまり…

心霊動画保管庫

俺は現在、某携帯キャリアの携帯を使っているんだが、どうにも訳の分からないことが起きすぎる。 事の初めは、俺が携帯でサイトを見ていた時だった。 まず、俺の知り合いで携帯の不思…

小さな鍾乳洞

少し昔……と言っても15年以上前の話になる。 俺の地元には小さな鍾乳洞がある。 田んぼと山しかないド田舎だったので、町としても鍾乳洞を利用して観光ビジネスを興そうとしたらし…

山を穢した代償

以前に住んでいたマンションの大家さんは、御主人が亡くなったのを機に田舎の土地を処分し、都会にマンションを建て息子夫婦と同居した。 老女は何かと話し掛けてくれ、俺も機会があれば田舎…

古いアパート

アパート101号室

昨年夏に放送された深夜の特別番組「超オフレコの恐怖体験」は、その名の通り、心霊現象が囁かれる物件を取り上げ、視聴者に寒気をもたらした一夜でした。 伝説に包まれたある古びたアパー…

海の岩場(フリー写真)

形見の写真

小学生の仲が良い男の子4人が海へ遊びに行った。 初めは浴場の方で遊んでいたのだけれど、そのうち飽きてしまい、人気のない岩場へと移動。 散々遊んでさあ帰ろうという事で、記念…

赤いミニスカートの女

サイフの持ち主は

これは今から7年ほど前、私が一人暮らしを始めたばかりの頃の話です。 高校を卒業し、就職と同時に実家を出て、徒歩30分ほど離れた土地で初めての一人暮らしを始めました。まったく知ら…

電話

ダレモイナイヨ

ある年の夏の終わり頃の事でした。 私が住宅街の中にポツンとあるカフェバーで働いていた時の話です。 その店はあまりお客も来ず、私と友人達の恰好の溜り場となっていました。 …

三つの墓標

俺の高3の時の生物の担当の話。 自分が実際に体験した訳じゃないけど、ある程度現場視点で話します。 先生は某国立大学の出で、その大学は山にあって、昔は基地として使われていたら…