笑う女

公開日: 本当にあった怖い話

wm3

旅先で知り合ったアニキに聞かせてもらった話。

このアニキが昔、長野と岐阜の県境辺りを旅していた頃、山間の小さな集落を通りかかった。

陽も暮れ掛けて夕焼け空に照らされた小さい村の約半数近くが廃屋で、残りの半数近くも結構古い建物ばかり。

そして、小さい学校らしき建物にはちゃんと校庭もあった。

季節は夏で、アニキは今日はここで野宿することに決め、校庭と校舎の間にある階段に腰掛けて寛いでいた。

夜になりタバコを吸いながら何気なく周りを見渡すと、月明かりでかろうじて物が見えるほどの暗い中を、校庭の向こう側からこちらに向かって誰かが歩いて来るのが見えた。

それは24〜25歳くらいの女の人で、白っぽい服を着ていた。

最初はアニキも期待はしたけど、その人が近くまで来た時にはむしろ不安がよぎっていた。

その人はずっと笑い続けていたから。

しかもアニキと同じように階段の端っこに腰掛け、ずっと笑い続けている。

下手に動くと余計マズいんじゃないかと、アニキはとても緊張していた。

隙を見て逃げようとすればするほど余計に怖くなる。

だが他に行き場がないし、旅の疲れも溜まっているので、いつしか眠ってしまっていたそうだ。

朝になって目が覚めると、夕べの気のふれた女はいなくなっていた。

でも、着ていたシャツのあちこちに女の人の手で触ったような汚れというか、跡が付いていたそうだ。

近所の人にこの辺りでちょっとおかしい人はいないか聞いてみても、知らないという。

このアニキ曰く、下手な幽霊よりも生きている人間の方が怖いんだそうだ。

関連記事

茶封筒

不思議な預かり物

これは大学の先輩が体験した実話。 その先輩は沖縄の人で、東京の大学の受験のため上京していた時のこと。 特に東京近郊に知り合いもいなかったので、都内のホテルに一人で宿泊してい…

夜のアパート(フリー写真)

リビングの物音

2年程前に体験した話です。 僕は当時、一人暮らしをしていました。 借りていたアパートは1LDKで、リビングとキッチンの両方にテレビがありました。 平日は会社から帰ると…

石段の向こう

今年のゴールデンウィークの不思議な体験を書かせてもらいます。 私の家にはスーザン(仮名)という、サンディエゴからの留学生が滞在していました。 母が婚前に英語の教師をした影響…

山遊び

子供の頃の話。 大して遊べる施設がない田舎町だったので、遊ぶと言えば誰かの家でゲームをするか、山や集落を歩いて探検するかの2択くらいしかする事がなかった。 小学校が休みの日…

呪いのゲームソフト

昔、ゲーム雑誌会社で働いていました。 当時はゲームと毎日向かい合っていたので振り返るのをやめていましたが、会社自体が潰れて暫く経ち、どこの会社かバレても支障がなくなったので、その…

非常階段

数年前、職場で体験した出来事です。 その頃、僕の職場はトラブルつづきで、大変に荒れた雰囲気でした。 普通では考えられない発注ミスや、工場での人身事故が相次ぎ、クレーム処理に…

廃墟ホテル(フリー素材)

廃墟ホテルの調査

俺がフリーの調査業をやっていた頃に経験した話です。 その時に受けた仕事は、とある出版社の心霊関係の特集の調査で、俗に言う心霊スポットを調査して事実関係を調べる仕事でした。 …

雑居ビルの怪

今からもう14年くらい前の、中学2年の時の話です。 日曜日に仲の良い友人達と3人で映画を観に行こうという話になりました。友人達を仮にAとBとします。 私の住んでいる町は小さ…

書斎(フリー写真)

電話を切りなさい

会社の先輩(女性)が学生の頃に体験した話。 学校から帰ってみると、家に誰も居なかった。 先輩は特に気にすることもなく、父親の三畳ほどの広さの書斎にある電話で友達とおしゃべり…

目の不自由な女性

就職して田舎から出てきて、一人暮らしを始めたばかりの頃。会社の新人歓迎会で、深夜2時過ぎに帰宅中の時の話。 その当時住んでいたマンションは住宅地の中にあり、深夜だとかなり暗く、ま…