シロ

公開日: ほんのり怖い話

DSC_0217

じいちゃんが亡くなって、じいちゃんの唯一の財産とも言える3つの山を5人の子供で分配するという話になった時のこと。

兄弟のうち4人は「山の一つには昔飼っていたシロという犬のお墓があるから、売らずに長男が相続して守ろう」と主張したんだけど、次男だけは男の兄弟3人で一つずつ相続しようと主張して譲らなかった。

その次男が宗教にどっぷりはまっていて、山に宗教施設を建てたかったらしい。

結局弁護士やら何やらが入るごたごたになっちゃったんだけど、その真っ最中に次男が宗教関係者やバックにいるヤクザを連れて山に入った。

もう施設を作る気満々で山の中を見て回ったんだけど、山を降りる時にヤクザが「ここの山はやめたほうがいい」と言い出したんだって。

「山に入った時から真っ白い大きな犬がずっと付いてきた。あれはこの世のもんじゃない」

次男はすぐにそれがシロだと解って、山に執着するのをやめたらしい。

関連記事

頼もしい親父

親父が若かった頃、就職が決まり新築のアパートを借りたらしい。 バイトしていた材木店のトラックを借り、今まで住んでいたボロアパートから後輩に頼んで引越しをした。 特に大きい物…

家(フリー写真)

下に誰か来ている

うちの家は親父が製麺業を経営していて、親父は仕事上、朝の4時になると家を出て行く。 両親の部屋は1階、俺の部屋は2階にあった。 俺が中学生だった時のある日のこと。 …

優しい抽象的模様(フリー素材)

兵隊さんとの思い出

子どもの頃、いつも知らない人が私を見ていた。 その人はヘルメットを被っていて、襟足には布がひらひらしており、緑色の作業服のような格好。足には包帯が巻かれていた。 小学生にな…

キャンプ場

少女のお礼

この話は僕がまだ中学生だった頃、友人の家に泊まりに行った時に聞いた話。 友人と僕が怪談をしていると、友人の親父さんが入って来て、 「お前たち幽霊の存在を信じてるのかい? 俺…

尾崎豊さん

私の部屋にはよく夜中に霊が来ます。その時は必ず透けて見えます。 たまに映画のスクリーンのようにその霊にまつわるだろう景色も一緒に見えるのですが、何年か前にある男の人が現れました。…

綺麗に揃えられる靴

小学校の頃、近所にお化け屋敷と言われている家があった。 まあ、実際は屋敷という程でもない少し大きめな日本家屋なんだが、小学生の言うことだしな。 その日は両親共に帰宅が遅くな…

三宅太鼓(フリー写真)

三宅木遣り太鼓

八月初旬。 夜中に我が家の次男坊(15歳)がリビングでいきなり歌い出し、私も主人も長男(17歳)もびっくりして飛び起きました。 主人が「コラ!夜中だぞ!!」と言い、電気を点…

枕(フリー写真)

槍を持った小人

最近の話。 俺の家は四人家族で、いつもカミさんと上の子、一歳の下の子と俺が一緒に寝ているのだけど、この下の子がよくベッドから落ちる。 俺も気を付けて抱っこしながら寝たりする…

古い一軒家(フリー写真)

黒く塗り潰された家

昔、今とは別の仕事をしていた時の事。 その日はいつも居る支店とは違う支店エリアでの営業で、渡された地図を片手に歩きながら、飛び込み営業の仕事だった。 目的のエリアに着いて『…

夕日(フリー写真)

歳を取らない巫女様

昔住んでいた村に、十代の巫女さんが居た。 若者の何人かはその人のお世話をしなければならず、俺もその一人だった。 その巫女さんは死者の魂が見えたり、来世が見えたりするらしかっ…