愛猫の最後の挨拶

dsc02538_excerpt

うちの両親が体験した話。

もう20年も前の夏のことです。

私達兄弟が夏休みを利用して祖父母の家に泊まりに行っていた夜、当時とても可愛がっていた猫がいつまで経っても帰ってこない。

そのうち帰ってくるだろうと床に就いたのですが、深夜になって気配を感じた母が目を覚ましてみると、猫がひょっこり戻ってきて枕元にちょこんと座っていたそうです。

「一緒に寝るかい?」と言うと、

「ニャ~」と一声。

そして、またどこかに行ってしまったそうです。

その夜から完全に姿を消してしまったのですが、夏も終わる頃、物置の脇に積まれた木の切れ端の山の、ぽっかり空いた所に死んでいるのが見つかりました。

最後にお別れにきたんだなあ…と、今でもその猫のことは語り草になってます。

関連記事

民家

さしあげますから

もう10年以上前の大学時代の事。 当時、実家の近所にある小さな運送会社で、荷分けやトラック助手のバイトをしていた。 現場を仕切っていたのは、社長の息子で2つ年上の若旦那。 …

手を繋ぐ(フリー写真)

おじいちゃんの短歌

高校の時、大好きなおじいちゃんが亡くなった。 幼い頃からずっと可愛がってくれて、いつも一緒に居てくれたおじいちゃんだった。 足を悪くし、中学の頃に入院してから数ヶ月、一度も…

幽霊ってさ、通り魔みたいに理不尽な存在だと思うんだ

霊ってどんなものかその時まで知らなかったけど、通り魔みたいに理不尽な存在だと思う。 10年くらい前に日本全国をブラブラ旅歩いていたときの話。 T県のとある海鮮料理を出すお店…

マンション(フリー写真)

幸運の家

今から14年前に家を建て替えようという話になり、一時的に引っ越すことになりました。 その時に借りた家で体験したお話です。 場所は愛知県の岡崎市で、2年程前に近くを寄った時に…

見つけて…、お願い…

これはもう25年以上も前ですが、実際に体験した話です。 元々ある場所に起因する話なのですが、当時私が高校2年から3年へ上がる春休み中に、その事は起こりました。 そのある場所…

街のショップ

開かない自動ドア

大学二年生の夏休みが近づいた頃、私に不思議なことが起こり始めた。 突如、コンビニやスーパーなどの自動ドアが私に反応しなくなったのだ。 以前は普通に使えていたコンビニの自動…

団地(フリー写真)

深夜の足音

昔、俺が社会人一年目の頃に体験した話。 当時は五階建ての団地に一人暮らしをしていた。 周りはとても静かで、俺はその場所をとても気に入っていた。 しかし一つ問題があった…

家(フリー写真)

バイバイ

4月の統一地方選挙で、某候補者のウグイス嬢をしました。 その時、私はマイク担当ではなく、手振りに専念していました。 手振りは、候補者を支持してくださる方が振っている手を漏ら…

古いキーボード

あの世からの最後のメール

この話は7年前の出来事です。 当時、インターネットはまだ普及しておらず、私はパソコン通信を利用していました。 クローズドの掲示板のような場所で仲良くなった人たちと、オフラ…

アマヒメ様

その山村には、奇妙な言い伝えがあった。 寛政年間(18世紀終盤)のある年、雲一つ無いよく晴れ渡った空から、にわかに雨が降った。 おかしな事もあるものだと村人が空を見上げてい…