プレゼント

公開日: ほんのり怖い話

bookp

中学生だった頃、いじめが原因で同級生が自殺した。

親の引っ越しか何かで転校してきた子で、性格もあまり明るい子じゃなかったから、すぐにいじめの対象になった。

そして、私も暗い子で友達なんかいないに等しかった。唯一の違いは、勉強だけはできたのでいじめの対象にならなかった点くらい。

そんな本の虫で図書委員も務めていた私と、遊び相手がいなくて図書室に来る彼女とは、それなりに会話するようになった。

自殺する前日も会話したけどよく覚えてる。

翌日、先生から彼女が昨晩首吊りしたという話を聞き、私だけ即警察のご厄介に。

「何で?」と思ったら、遺書に私の名前が書いてあったかららしい。

内心『いじめた奴の名前書けよ!』と憤慨したが、どうやらいじめの犯人として呼ばれたのではなく、親御さんにも「娘と仲良くしてくださってありがとうございました」と頭を下げられた。

親御さんの許しも得て遺書を読ませてもらったら、長々と自殺の理由を説明した後

『私の幸運と残りの寿命は、ただ一人親しくしてくれた(私)ちゃんにプレゼントします!』

そんなことが書いてあった。

以降、何かとツいている毎日。

と言っても「宝くじの一等賞が当たった」とか、その手の幸運は来ないんだけど、本当にちょっとした幸運だよね。

そして最近、子どもが産まれた。

出産で疲れ果て、ウトウトと眠り始めた頃

「(私)ちゃん! 返してもらうね」とあの子の声がした。

部屋には赤ん坊と私しかいなかった。

…子どもがときどき私の方をじっと見てくるような気がして、落ち着かない。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

最強の姉

一年前から一人暮らしを始めて以来、不眠症が酷くなった。 数ヶ月前に姉が遊びに来て、「へー…ここ住んでるんだ。そうかそうかなるほどね」と変な言葉を残して帰って行った。 霊とか…

妖狐哀歌(宮大工10)

オオカミ様が代わられてから数年が経った。 俺も仕事を覚え数多くの現場をこなし、自分でも辛うじて一人前の仲間入りを果たす事が出来たと実感するようになった。 また、兄弟子たちも…

葛籠(つづら)

俺は幼稚園児だった頃、かなりボーッとした子供だったんで、母親は俺をアパートの留守番に置いて、買い物に行ったり小さな仕事を取りに行ったりと出かけていた。 ある日、いつものように一人…

お通夜の日

おじいちゃんのお通夜の日の話です 当時高2の俺は、別に手伝う事も無かったので、準備が終わるまで自分の部屋で音楽を聴きながらまったりとしてたんです。 それでちょっと眠くなって…

公園

公園の友達

お盆の季節になると、私はある思い出をよく振り返る。 私が小学2年生のころ、タケシという友達と日々一緒に遊んでいた。 我々のお気に入りの場所は川の近くの公園で、日が暮れるま…

変わった妹

高校生の頃、いつも喧嘩してた妹がいた。喧嘩といって他愛もない口喧嘩で、ある程度言い合ったらどちらかが自然と引く。 ニュースであるような殺傷事件には到底至らないような、軽い喧嘩だっ…

もっさん

うちの病院のカテーテル室(重症の心臓病患者の処置をする場所)には、もっさんと呼ばれるものが出る。 もっさんは青い水玉模様のパジャマを着ており、姿はぼさぼさ頭の中年だったり、若い好…

電話機

8時半の電話

私の会社に毎朝、電話がかかって来る。 それも朝の8時半、ぴったりに鳴る。 入社したてで電話番をしていた頃は律儀に電話に出ていた。 しかし電話に出ても何も言わず、暫く…

異なった世界のスイッチ

アサガオが咲いていたから、夏の事だったと思う。 私は5歳で、庭の砂場で一人で遊んでいた。 ふと顔を上げると、生け垣の向こうに着物姿の見知らぬお婆さんがニコニコして立っている…

山(フリー写真)

一つ目のおじちゃん

子供の頃、家族で山に行ったことがある。 山に着いたのはまだ朝方で、霧が辺りを覆っていた。 僕は親の言い付けを守らず、一人で山中に歩き入り、当然のように迷子になってしまった。…