ITエリート

公開日: ほんのり怖い話

hubmaclabtour

某県では次世代を背負って立つITエリートを育てようと、IT教育にたいそう力を入れている。それゆえ、この県の公立学校では、IT教育関連の設備投資に限っては、湯水のように予算を使うことができる。

数年前、この県のとある小学校で、ある試みが行われた。それがスーパーマルチメディアホームルームである。いわゆる特別教室としてのマルチメディア教室ではなく、ホームルームの生徒一人一人の机すべてに、液晶式のパソコン端末が組み込まれ、教員は黒板を一切使うことなく、画像、動画、音声など、あらゆるメディアを縦横に駆使して授業を行うことができるという、まさに夢のようなマルチメディア教室だった。

一説にはこの教室ひとつに、8000万円の予算が投じられたと言う。

教室は完成し、ITに長けた教員が特別に配置され、授業が開始された。このクラスの生徒は、理科の実験や家庭科の実習などの特別授業以外、ほとんどの授業をこの教室で受けた。県内外から多くの教育関係者が視察に駆けつけ、この小学校がまさに時代の最先端を走っていることを否が応でも見せつけた。

そして間もなく、ある事実が確認された。

それは、児童の目は一日6時間もの間、液晶画面を見つめつづけるだけの耐久力を持っていないと言う事実だった。

これは過去に本当にあった話です。

関連記事

名も知らぬ息子

「僕のお母さんですか?」 登校中信号待ちでボーっとしていると、突然隣の男が言った。 当時私は20歳の大学生で、妊娠・出産経験はない。それに相手は、明らかに30歳を超えていた…

秘密

小学四年生の時の話。 当時、俺は団地に住んでいた。団地と言っても地名が○○団地というだけで、貸家が集合している訳じゃなく、みんな一戸建てに住んでいるような所だった。 既に高…

切り株(フリー写真)

植物の気持ち

先日、次男坊と二人で、河原に蕗の薹を摘みに行きました。 まだ少し時期が早かった事もあり、思うように収穫が無いまま、結構な距離を歩く羽目になってしまいました。 視線を常に地べ…

女性のシルエット(フリー素材)

赤の他人

俺は物心付いた時から片親で、父親の詳細は判らないままだった。 俺は幼少期に母親から虐待を受けていて、いつも夕方の17時から夜の21時まで家の前でしゃがみ込み、母親が風呂に入って寝…

彼の予見

昔付き合っていた彼氏の話。 当時高校生だった私は、思春期にありがちな『情緒不安定』で、夜中に一人で泣く事が多かった。 当時はまだ携帯なんて高嶺の花で、ポケベルしかなかったん…

いつもの男性

オカルトではないかもしれませんが実体験話を一つ。 数年前に大学を卒業して某証券会社に就職しまして、福岡に赴任していた時の話です。 会社の借り上げのマンションが市の中心部にあ…

満月(フリー画像)

天狗

35年前くらいの事かな。俺がまだ7歳の時の話。 俺は兄貴と2階の同じ部屋に寝ていて、親は一階で寝ていた。 その頃は夜21時頃には就寝していたんだけど、その日は何だか凄く静か…

異界の夜

禁足の神社と小さな神主

夏の時期に体験した、不思議で、どこか気味の悪い出来事です。 それは今から3年前、私が21歳だった頃の夏。ちょうど8月の二週目のことでした。 大学に通うために上京していた私…

エレベーター(フリー写真)

エレベーターの点検

俺はメンテナンス会社に勤めている。 客先の施設に常駐管理したり、不具合があると急行するなど、色々なパターンがある。 自分は巡回点検担当だが、夏休み期間中は普段受け持たない…

地下鉄(フリー写真)

目に見えない存在の加護

その日はいつも通りに電車に乗って会社へ向かった。 そしていつものようにドアに寄り掛かりながら外の景色を眺めていた。 地下鉄に乗り換える駅(日比谷線の八丁堀駅)が近付いて来て…