葬列

公開日: ほんのり怖い話 | 心霊体験

wallpaper362_640_1136

ある日、AさんがBさんの家で飲み会をし帰りがすっかり遅くなってしまいました。

夜道を歩いていると向こうから何やら行列が見えます。その行列の人たちは喪服を着ており葬式だということが分かりました。「はて…?この近所で誰か亡くなったのかな?」とAさんは行列の1人に訊いてみました。

「これは誰の葬式ですか?」

というとその人はこうつぶやきました。

「その先の家のAさんのです」

なんとこの自分の葬式だというのだ。驚いたAさんは振り向くとそこには葬式の行列はありませんでした。

怖くなったAさんは駆け足で家に帰りました。しかし家に帰っても奥さんや子供がいないのです。途方に暮れたAさんは仕方なく、さっきまで一緒に飲んでいたBさんの家まで戻ることにしました。

Bさんの家に着くとAさんはBさんにこの奇妙な出来事を伝えました。

するとBさんは、

「お前、飲みすぎなんだよ今お前の家に電話するから」

とBさんはAさんの家に電話しました。

すると普通に電話から奥さんの声が聞こえました。

「ほらな? 普通に家にいるだろ?」

そう言うとBさんはAさんを連れ添いAさんの家まで行きました。そしたら今度はAさんの家族は居ました。Aさんもこれは夢でもみたのだと思いました。

しかしそれから数日後、Aさんは交通事故で亡くなりました。葬式をしている最中、Bさんは数日前Aさんが行っていた奇妙な出来事を思い出していました。

「Aさんは自分の死を予言していたのではないか?」と。

やがて葬式も終わり参列し棺を霊柩車に運んでいる時でした。Bさんの後ろでこんな会話が聞こえました。

「これは誰の葬式ですか?」

「その先の家のAさんのです」

Bさんはハッとしました。今の声は間違いなくAさんの声でした。

Bさんは後ろで会話してた人にこう言いました。

「今喋ってた人はどこに行きました?」

するとその人は、

「ええっとその先のAさんの家に走って行きましたよ。でも妙だな。その人、何というか黒い靄にかかった感じで顔が良く見えてなかったんですよ」

BさんはAさんの家の方へ向かいましたが、そこには誰も居ませんでした。

「Aが見た参列というのはこれのことだったのか……」

関連記事

神秘的な山(フリー素材)

山の少年

中学時代、夏休みを利用して友達と川釣りに行こうという話になりました。 夜中の午前3時頃に集合し、市街地から自転車をひたすら漕いで約3時間、目的の川に到着しました。 ※ 早速、…

欅(フリー写真)

欅の木のお地蔵さん

小学生だった頃に体験した話です。 当時は夏休みや冬休みといった長い休みになると、従兄弟達の家に何日も泊りがけで行ったり来たりしていた。 夏休み前半を従兄弟達が私の家で過ご…

フィルムノイズ(フリー素材)

白い影の正体

私は親族に、主に妻の家族に隠し事をしている。 なぜ私だけが知り、なぜあの時、お義父さんが私だけに話したのか。 それは10年以上経過した現在でも判らない。 ※ 妻の母親、…

駅のホーム

もうひとりの私がいた日

この出来事は、私がまだ小学校に入学する前のことです。 その日、母に連れられて、遠縁の親戚の家を訪ねるために駅へと向かっていました。私にとっては、電車に乗るのも駅に行くのも、すべ…

い゛れでぇぇ…

友人は最近仕事が忙しく、自宅に帰るのは午前2時~3時になっていたそうです。 この自宅というのは、8階建てのマンションで7階にある部屋です。 いつものように、帰りが2時を過ぎ…

廃墟ホテル(フリー素材)

廃墟ホテルのワンピース

暑い季節になり去年のことを思い出してきたので、ここで去年の暑い季節にあったことを書いてみたいと思う。 ※ 去年の夏、私は彼女と友人と友人の彼女の4人でロッジを借り、余暇を楽しむ計画…

病院の老婆

一年程前の話です。当時、私はとある病院で働いていました。 と言っても看護師ではなく、社会福祉士の資格を持っているので、リハビリ科の方でアセスメントやケアプランを作ったり、サービス…

夜のアパート(フリー写真)

リビングの物音

2年程前に体験した話です。 僕は当時、一人暮らしをしていました。 借りていたアパートは1LDKで、リビングとキッチンの両方にテレビがありました。 平日は会社から帰ると…

渓流(フリー写真)

一人で泳ぐ男の子

去年の梅雨の終わり頃、白石川に渓流釣りに行った時の事。 午前4時くらいに現地に到着し準備を終え、さあ川に入ろうとした時に、川の方から子供の声が聞こえるんです。 薄明るくなり…

トンネル(フリー写真)

トンネルの少女

二十数年生きて来て、心霊現象なんて体験したことはなかった。 怖い話は好きだけど、そんなの実際には有り得ないと否定的だった。 今は、肯定する気もないけど否定もできない。 ※…