呼び寄せられた仲間

公開日: ほんのり怖い話

wallpaper281_640_1136

僕が大学生のころ。あれは確か昭和63年12月の出来事でした。

同じ高校の友達と2人で神戸三宮に出ていたら、別の高校卒業以来の友達と出くわした。
「おお、久々じゃないか」となって、確かお茶かなんか飲んだ記憶がある。
その後、3人は最後に出会った友達の家に向かった。

夜になって、この家に高校卒業以来の友達が来た。
彼はこの家にはちょくちょく来てたらしいが、僕とは卒業以来の出会いでした。「いやーお前、久々じゃないか。どうしてたんだい」と言われて、あれこれ盛り上がったのだが、これからが問題でした。僕達は高校の時6人で仲が良かったのだが、この時点でそのうち4人が偶然に集まったのだ。

「不思議だよな、今まで音信なかったのに」とか言ってた記憶がある。「あと、NとWが来ればあのメンバーだよな」とか話してた。

夜中4時ごろ。突然N(こいつも彼の家によく来てたらしいが)が、車で青くなってやってきた。
そして僕達をみるなり(かれも卒業以来なのに、それどころじゃないらしく)「Wが昨日、自殺していた」と。Wの家から連絡があったと語った。

もう疑い様がなかった。

卒業以来6人が集まる事なんてなかったのに、この日は次々と5人までが出会って、最後に彼の死を知ったのだ。亡くなった友達が、メンバーを集めてくれたとしか思えない。

きっと彼も近くにいたんだと思う。

関連記事

夜の寝室(フリー素材)

霊感の強い先輩

私が中学2年生の時、同じ部活に『自称霊感が強い』先輩が居ました。 私は当時、あまりそういうオカルト的なものは信じていませんでした。 ですので、その先輩の体験した話なども半…

綺麗な少女

夏が近くなると思い出すことがある。 中学生の時、ある夏の日のことだ。俺は不思議な体験をした。 夏休みを迎えて、同世代の多くは友達と遊んだり宿題をやったりしていただろう。 …

自動ドアが認識しない人間

大学二年の夏休みに入る少し前からだったかな…。 コンビニやらスーパーやらの入り口、とにかく全ての自動ドアが俺に反応しなくなった事があった。 それまでは普通に入ることの出来て…

マスク(フリーイラスト)

空白の友人

偶に記憶の空白が訪れる。 正確に言うと、「気付いたらいつの間にか数時間が経過していた。そして、ついさっきまで自分が何をしていたのかが判らない」というものなんだけど。 まあ、…

夜道(フリー写真)

不可解な車の傷

飲み会で後輩から変な話を聞いた。 車の話をしていたのだが、最近、車に不可解な傷がついたとか。 バイト帰りの深夜、他に走る車もない道路で信号待ちをしていたところ、突如後ろか…

すたか駅

消えた駅『すたか』と提灯の山

それは、ある晩のことだった。 京都駅からJR線に乗り、長岡京へ向かっていた私は、仕事疲れもあってか、ついウトウトと居眠りしてしまった。 気づいたときには、電車はすでに見知…

お婆ちゃんの手(フリー素材)

牛の貯金箱

小学生の頃、両親が共働きで鍵っ子だった俺は、学校から帰ると近所のおばあちゃんの家に入り浸っていた。 血縁者ではないが、一人暮らしのばあちゃんは俺にとても良くしてくれたのを覚えてい…

いつもの男性

オカルトではないかもしれませんが実体験話を一つ。 数年前に大学を卒業して某証券会社に就職しまして、福岡に赴任していた時の話です。 会社の借り上げのマンションが市の中心部にあ…

山

山の神様との約束

奄美大島には古来から「ケンムン」という妖怪が存在すると言い伝えられています。ケンムンは子供のような小さな背丈で、毛むくじゃらの体に山羊のような臭いがするとされており、頭には特徴的な皿…

霧のかかる山(フリー写真)

酒の神様

去年の今頃の時期に結婚して、彼女の実家の近くのアパートに住んでいる。 市内にある俺の実家から離れた郡部で、町の真ん中に一本国道が通っており、その道を境に川側と山側に分かれている。…