オッサン管理人
ホラー映画を観たり怖い話を聞いたりするのは大好きだけど、自分がそういう体験をするのは絶対嫌だと言う友人から聞いた話です。
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10年くらい前の話。
当時、友人は会社の社員寮や学生寮の管理を請け負う会社に就職していました。
寮によっては、開かずの部屋があったり、共同風呂には絶対に鏡を付けてはいけないと申し送りをされた寮があったりと、友人的にはなかなか興味深い話が色々耳に入ってきたみたいです。
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ある日、管理している寮の一つで寮生が自殺するという事件がありました。首吊りだそうです。
数日後の朝、友人がいつものように会社に出社すると、隣の課が何やら騒いでいました。
隣にある寮の管理人とのホットライン電話の留守電に、自殺があった寮の住み込み管理人からメッセージが入っていたのですが、第一声が
「お祓いを呼んでくれえ!!」
でした。後は支離滅裂で、隣の課はざわざわしていたらしいのです。
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後日、友人がその寮の担当社員から話を聞いたところによると、夜中に寮生が「廊下で変な音がする」と管理人室に電話してきました。
コールがあったのは自殺があった階で、管理人はビビりながらも向かいましたが、廊下は静かで誰も居ません。
『まさか自殺のあった部屋に忍び込むようなアホが出たか?』と疑った管理人は、思い切って例の部屋を開けてみました。
鍵を開けてドアを開くとすぐ部屋なのですが、真っ暗な室内に、両手の手首から上だけが浮いているのが見えたそうです。
管理人は死ぬ程ビビったらしいのですが、寮生の悪戯かどうか懐中電灯を向けて確認しようとしたら、手首はふっと消えたと。
でも、まだ管理人は悪戯の線を捨てていなかったので、震えまくりながら電気を点けて室内を確認したそうですが、室内は無人で、特に誰かが入り込んだ形跡もありませんでした。
そこでとうとう管理人はパニックを起こし、夜中に管理会社に電話して留守電にメッセージを吹き込んだのです。
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友人も例の留守電を聞いたそうなのですが、50歳を超えたいい年のオッサンがしゃくり上げながら金切り声で叫ぶ様子は、音声だけでも凄いインパクトだったそうです。
ちなみに管理人が見たという手は、甲をこちらに向けて固く何かを握りしめる形をしていたらしいです。
管理人は「あれは首吊り縄を掴んでたんだ」と力説していたそうですが、友人に話をしてくれた担当社員は「おじさんがあごの下で手握ってぶりっ子ポーズにしてもな~」みたいな感想だったらしいです。
オッサン管理人の心の平安のためにも、お祓いはちゃんとしたそうです。