告別式の帰りに

公開日: ほんのり怖い話 | 心霊体験

竹林(フリー写真)

可憐な女子高生だった頃の話です。

中学時代に親しかった友達が亡くなり、当時の担任の先生と一緒に告別式に出た帰りのことでした。

私は友達が亡くなったことがショックで、泣いたりぼーっとしたりしていました。

運転席の先生はしきりに助手席の私に手を伸ばして、肩を抱いたり膝に触ったりしていました。

最初は慰めてくれているのだなと思いましたが、

次第に触り方が執拗になってきて、太腿を撫でたり腋の下に手を入れてきたりしたのです。

ふと気付くと車は住宅地から離れ、人気のない休耕田の中を走っていました。

「なあ、お前ももう大人だよな? 実は先生、前からお前のことを…」

そのようなことを先生が言い始め、田んぼの中にぽつんと生えている竹林の影に車を停めました。

そして突然、私の手を握ってきました。

私はまだ先生の意図が判らず、先生が停めた竹林の中にお墓があることだけが気に掛かっていました。

「先生、ここお墓ですよ」

「えっ」

先生は少し驚いたように竹林を覗き込んで、ぎょっとしたような顔をしました。

「T山!?(亡くなった友達の苗字)」

そう短く叫んで、先生は慌ててエンジンを掛け直し、住宅街へ車を走らせました。

私には何も見えなかったけど、先生にはお墓の中に何かが見えたようです。

家に戻り冷静になってから、私は自分が危ない目に遭う寸前だったことに気付きました。

私は幽霊は信じていなかったのですが、この時ばかりは友達が助けてくれたのかな、と思いました。

関連記事

太陽の光(フリー写真)

わたしの靴がないの

従姉妹が19歳という若さで交通事故に遭い、亡くなりました。 それから半年ほど経った頃、夢を見ました。 従姉妹の家に沢山の人が訪れ、皆それぞれ食事をしながら談笑しています。 …

高速      

真実と幻

数年前の夏、高速道路交通警察隊に勤める友人が体験した不可解な事件についての話です。 ある日、友人は別部署の課長から突然の呼び出しを受けました。理由は、一週間前に起きた東北自動車…

紅葉(フリー素材)

幻の宴

旅行先で急に予定が変更になり、日本海沿いのとある歴史の古い町に一泊することになった。その時に体験した話。 ※ 日が暮れてから最初に目に入った旅館に入ったんだけど、シーズンオフのせい…

寝室(フリー背景素材)

ムシリ

私の家系の男は全員『ムシリ』という妖怪が見える。 正確には、思春期頃に一度だけ会うものらしい。 おじいさんの話だと、夜寝ていると枕元に現れ、家系の男の髪の毛を毟り、食べるの…

田舎の風景(フリー写真)

掌を当てる儀式

この間、ずっと忘れていた事を思い出しました。 前後関係は全く判らないのですけど、子供の頃に住んでいた小さな町での記憶です。 他の五人くらいの子供と、どこかの家の壁にぎゅーっ…

ユキオ

小学校の頃、俺のクラスの転校生にユキオという奴がいた。その名の通り、肌が白くハーフみたいでナヨっとした感じの男だった。 ユキオには両親がいなくて、祖父母と暮らしているようだった。…

スマホを持つ女性(フリー素材)

ユキからのメール

今年の春からの出来事です。 いきなり私の携帯に知らないアドレスからメールが届きました。 『ユキだよ。○○ちゃん、今日のシャツちょぉぉぉカワイイ(>∀<)』 そんなメー…

叩いている

高校の時、仲の良い友人が「週末、家に泊まらない?」って誘ってきた。 「親もいなしさ、酒でも飲もーぜ」って。 特に用事もなかったけど、俺は断った。 でも、しつこく誘って…

ハイハイ

学生の頃、バイト先の店長から聞いた体験談です。 ある日、店長が友人数人と居酒屋で飲んでいた時のこと。 みんな程よく酔いが回ってきた頃、一人だけ酔い潰れていた人がいました。 …

廃病院

廃病院での心霊体験

まだ俺が大学に居た頃だから、もう2、3年前になると思う。 田舎を出て県外の大学に通っていた俺に、実家から「婆ちゃんが倒れた」と電話があった。 昔から色々と面倒を見てくれてい…