不穏な連鎖

公開日: ほんのり怖い話

顕微鏡

土曜日のこと、あるイベントで地下1階の一室に数人と談笑していました。

部屋の隅に放置されていた新聞紙が、突如としてガサゴソと音を立てたのです。

その瞬間、新聞紙の周囲には誰もいなかったため、我々は異様な雰囲気に包まれました。

後になって知ったのですが、その部屋はかつてペットの飼料を研究する実験室であり、多くの鶏が飼育されていたとのこと。

友人の一人は、「昔の鶏がいたずらをしたのだろう」と不思議なほどあっさりと納得していました。

その友人の納得の仕方に、ほのかな不安を覚えました。

同じ土曜日の夜、長い間不調だった私の体調が回復し始めたのが、親友が体調を崩し始めた時期と同じだという話題になりました。

私に憑いていたものが移行したのではないかと、半ば冗談交じりに語り合いました。

そして、軽い気持ちで親友の肩を叩き、「悪いものを渡してしまってごめんな、返してあげるよ」と言ったその瞬間、左肩に異様な感触が走りました。

それは、肌を這うような嫌な汗を誘うものでした。

その後、親友の家へ向かう途中でした。よく歩いたはずの道に、不穏な雰囲気を感じ、心地悪さを抱えていました。

道中、マンションの前で白い上衣とチノパンを着た男性が立っているのを見かけました。

「なぜ路上にぽつんと立っているのだろう」と不思議に思い、振り返った瞬間にはその人影は消えていました。

その時、身体を貫くような冷たい寒気を感じ、必死にお守りを握りしめました。

その不穏な道を抜けたとたん、嫌な感じは消え去りましたが、その怖さは深く心に残りました。

関連記事

戦時中の軍隊(フリー写真)

川岸の戦友

怖いというか、怖い思いをして来た爺ちゃんの、あまり怖くない話。 俺の死んだ爺ちゃんが、戦争中に体験した話だ。 爺ちゃんは南の方で米英軍と戦っていたそうだが、運悪く敵さんが多…

肝っ玉おかん

以前付き合っていた彼女に聞いた話。 小学校4年生くらいの頃、夜中に枕元に気配を感じて目を覚ますと、白装束に狐の面を被った何者かが立ってこちらを見ていたそうです。 何をするわ…

オオカミ様の涙(宮大工6)

ある年の秋。 季節外れの台風により大きな被害が出た。 古くなった寺社は損害も多く、俺たちはてんてこ舞いで仕事に追われた。 その日も、疲れ果てた俺は家に入ると風呂にも入…

恋人(フリー写真)

本当の霊視

とある心霊系のオフ会に参加した時の話です。 私は霊感がある(手品も上手い)Tさんの車に乗せてもらい、スポットを幾つか回りました。 不思議なのはその人の会話です。 話題…

天井(フリー写真)

遊びに来る友達

私が中学生の頃に住んでいた家での話。 私には四つ年上の兄が居る。兄には当時付き合っていた同い年の彼女が居て、家にもよく来ていた。 その彼女が来る予定の日、確か土曜日だった…

アパート(フリー写真)

好条件物件

まだ自分が大学在学中、あれやこれやがあって、気分を変えるため引越しをすることにした。 大学のそばにある不動産屋で、大学と係わりの強いおばちゃんに条件を提示しつつ、お勧めの物件につ…

夜の海(フリー写真)

夜の闇と黒い海面

かなり昔のことになります。 当時、小学低学年だった弟は、父に連れられて夜釣りに行きました。 切り立つような崖の先端近くに父と並んで座り、暗い海面に釣り糸を垂れていた弟は、…

体育館

時代を越えて

俺が小学生だった頃、早朝一番乗りで体育館でシュートの練習をしていたら、いつも体育館のステージの袖に見知らぬハゲのおっさんがいることに気が付いた。 近眼でよく見えないし、その時は先…

古い木造アパート(フリー写真)

白い木造建築

私が大学生の時に住んでいた部屋は、妙に雰囲気が悪かった。 日当たりは悪くないのに、何処となく薄暗いような感じがする。 いつもジメジメしていて、普段から気分が鬱々としたもの…

呼び寄せられた仲間

僕が大学生のころ。あれは確か昭和63年12月の出来事でした。 同じ高校の友達と2人で神戸三宮に出ていたら、別の高校卒業以来の友達と出くわした。 「おお、久々じゃないか」となって…