遊びに来る友達

公開日: ほんのり怖い話

天井(フリー写真)

私が中学生の頃に住んでいた家での話。

私には四つ年上の兄が居る。兄には当時付き合っていた同い年の彼女が居て、家にもよく来ていた。

その彼女が来る予定の日、確か土曜日だったと思う。

兄は学校をサボり家に居て、兄の中学時代の友達Aから、

「これから遊ばないか。他にも数人来る」

と電話を受けた。

高校に進学しなかった友達が免許を取ったからドライブに行こうという誘いだったらしい。

誘われた兄は母に事情を説明し、行って来ると言ったのだけど、その日に限って普段放任主義の母が

「彼女が来るんでしょ? やめときなさい」

と強めに止めた。

その日の夜中、ドライブに出掛けた5人のうち2人が事故で病院に運ばれ、そのまま亡くなった。

あの時、母が止めていなかったら、事故に遭った車に乗っていたのは兄だった。

その事を暫く兄は後悔していたようだったけど、私としては不謹慎だが行かないでくれて良かったと思う。

母にその時のことを聞いてみると、何故か行かせてはならないと思ったそうだ。

親子と言うか、母親って不思議だなと思った。

そして自分的にほんのり怖いのはここから。

当時住んでいた家は相当なボロ家だったのだけど、家鳴が頻繁に聞こえるようになった。

これだけなら気のせいだと思うし、古い家だったから気温差で鳴ることもあると思う。

でも他にもラップ音と言われる部類の、何かが破裂するような音や、二階には誰も居ないはずなのに歩き回る音が聞こえたりした。

家に一人で居るのが本当に怖かったよ。

ただ、これを治める方法が一つだけあって、亡くなった兄の友達の名前を呼び、

「もう寝るから静かにしてね」

と言うと不思議と音が止んだ。

母は「遊びに来てるんだね」「よく家にも来てたからね」と全然怖がっていなかったけど、中学生の私には本当に怖かった。

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