死を恐れる男

公開日: 怖い話

grave-stone-10-27-2012_2560x1600

ある村に、死を異常に恐れる男がいた。

特に男が恐れていたのは「自分が埋葬された後に、棺の中で息を吹き返してしまうのでは?」というものであった。

その男が病気の床にあるとき、家族全員に棺の中に電話線を引き、息を吹き返したときに確実に連絡が取れるようしてほしいと遺言を残し亡くなった。

葬式の後すぐに、遺族の住む家に奇妙な電話が入った。内容は何を言っているのか聞き取れない上に、ザーザーと混線しているような音が混じっていた。

家族は、いたずら電話だろうと思い電話を切ってしまった。

しかし、男に可愛がられていた孫だけは「さっきの電話はおじいちゃんからの電話だよ!」と言ってきかなかった。

最初は家族も子供の戯言だろうと思っていたが、あまりに孫が譲らないので、男性が死んでいることを納得させようと墓を掘り返そうということになった。

結局墓を掘り返したのは、奇妙な電話を受けた5日も後のことだった。

棺を開けた遺族達は仰天した。

棺の蓋には無数の引っかき傷が残っており、男は家族全員を怨むような、怒りの表情のまま息絶えていたらしい。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

生霊

この前、職場の同僚Aと居酒屋で飲んでいたときの話。 偶然、俺の前の職場の飲み会とカチ合った。 俺は特に問題があって辞めたわけじゃないし、前の職場の人とも仲が良かったので、合…

雪国(フリー写真)

無医村

爺ちゃんは当時、凄い田舎の山村に住んでいて、村にはあまり評判の良くない医者が一軒しかなかった。 ある時、爺ちゃんの知り合いの年配の男性が盲腸になり、仕方なくその医者に手術してもら…

銭湯(フリー背景素材)

もう一人の足

母が高校生くらいの頃、母にはAさんという友人がいたそうです。 その人は別に心霊現象に遭うような方ではなく、本当に普通の人だったそうです。 ある日、母とAさんは近くの銭湯へと…

夜の駅(フリー素材)

地図に無い駅

その日、彼は疲れていました。 遅くまで残業をし、電車で帰る途中でした。 既にいつも使っている快速は無く、普通電車で帰るしかありませんでした。 その為いつもよりも電車で…

蔵(フリー写真)

土蔵の仏壇

僕の実家には大きな土蔵がありました。 先祖代々伝わって来た、訳の解らない掛け軸や扇子や壺などが、山ほどありました。 ある日、いい加減古いものは処分しようと、家族総出で整理を…

姉のアトリエ

10年程前の話。 美術教師をしていた姉が、アトリエ用に2DKのボロアパートを借りた。 その部屋で暮らす訳でもなく、ただ絵を描く為だけに借りたアパート。 それだけで住ま…

廃墟

消えた声、風の中から

高校2年の夏休みのことだった。 霊の存在など信じないと豪語していた友人が、地元で“出る”と噂されていた廃屋に、ひと晩ひとりで泊まってみると言い出した。 その日の昼間、彼は…

公衆電話

公衆電話が呼ぶ

突然だが、僕は電話が苦手だ。 それは電話が面倒だとか、メールの方が楽だとかそういうことではない。 電話が掛かってくる度にギュウッと心臓が掴まれたようになる。 ※ とある…

校庭

消失の謎

会社の後輩に聞いた、その子の友人(Aさん)の話です。 Aさんが小学生の時、彼女はとても積極的で、休み時間には校庭で他の子どもたちとドッジボールを楽しんでいました。ある日、チャイ…

夜のアパート(フリー素材)

古戦場の近くにある寮

今から八年前の五月に体験した話。 当時は大学の寮に住んでいたのだけど、その寮は凄かった。 古戦場の近くで、その霊を供養するお寺が近所にあり、更に寮の隣の竹林には首塚があっ…