今度は落とさないでね

公開日: 怖い話

湖のボート(フリー写真)

ある若いカップルに子供が出来てしまい、堕ろそうか悩んだ挙げ句、産むことにした。

しかしまだ若い二人には育てることが出来ず、相談した結果、その子を殺すことにした。

二人は夜中に湖へ行き、置いてあるボートに乗って真ん中辺りまで漕いで行った。

彼女は何度も「ごめんね、ごめんね」と言いながら、赤ん坊を湖にポチャンと落とした。

それから何年か経ち、そのカップルはようやく結婚することになった。

そして二人の間に女の子が産まれ、幸せに暮らしていた。

その女の子が4歳くらいになったある日、その子が突然湖に行きたいと言い出した。

父親は気が進まなかったが、あまりにしつこく言うので仕方なく親子三人で出掛けることに。

湖に着くと今度は「パパ、あれ乗りたい」とボートの方を指差して言う。

しつこくねだられ、しぶしぶボートを借りて湖の真ん中辺りに来た所で、女の子が「パパ、おしっこしたい」と言い出した。

仕方がないと思い、周りに誰も居ないのを確認して湖にさせようと娘を抱っこした。

両足を持って二人が同じ方向を向いていると、娘がくるっと振り返り、

「今度は落とさないでね」

と言った。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

ポコさん

私の住んでいた家の近くの公園には、いつもポコさんという大道芸人みたいなおじさんが週に3回来ていた。 顔は白粉か何かで白く塗り、眉毛は太く塗り、ピエロの様な格好でいつもニコニコして…

山神様

これは、俺の曽祖父が体験した話です。大正時代の話ですので大分昔ですね。 曾じいちゃんを、仮に『正夫』としておきますね。 正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれば良く山狩り…

トンネル(フリー写真)

変化するビデオテープ

友人から聞いた話。 彼が大学に通っていた頃に、泊まりがけで遊びに行ったグループが居た。 その時、仲間の一人がビデオカメラを持っていて、みんなふざけて色々映していた。 …

某宗教団体

某宗教団体(J・W)で、伝説的になっている話をひとつ書き込みます。 ある姉妹(その教団内ではバプテスマ=洗礼を受けた女性をこう呼びます)が、王国会館(集会を開く場所)の周りで草刈…

B型肝炎

薬害エイズ。 国は非加熱製剤が危険であることは、それを禁止する10年近くも前から知っていた。 非加熱製剤が危険であると知ってから1年後、アメリカの会社が日本の厚生省に安全な…

工事現場(フリー写真)

持ち出された藁人形

俺は建設会社で現場作業員をしています。 ある年の年末、道路工事の現場で働いている時の事でした。 一日の作業を終えてプレハブの現場事務所へ戻ると、ミーティング時に使う折り畳み…

みさきとおばあちゃん

朝起きて家の前でタバコをふかしていると、隣に住んでるAさんに声をかけられた。 「○○ちゃん(私の名前)、頼みたい事があるんだけど……。 ちょっと、みさき(Aさんの娘さん、小…

アパートのドアノブ(フリー写真)

開けて

大学進学のために上京した時の話です。 私は志望した大学に無事受かり、4月から新しい学校生活を送るため、田舎から上京して一人暮らしをする事になりました。 学校まで電車で20…

祖母のしたこと

私の一番古い記憶は3歳。木枯らしの吹く夕方、一人でブランコを漕いでいるところ。 手も足もかじかんで、とても冷たい。でも今帰れば母に叱られる。祖母に迎えに来て欲しい、ここはいつも来…

田んぼ

田んぼの案山子の秘密

私は田舎に住んでいて、学校への通学路は常に田んぼの脇道を歩いていた。 ある日、帰宅中に田んぼの中にピンク色の割烹着を着た姿が見えた。 「田植えをしているのか」と思ったが、…