岩のくぼみ

公開日: 怖い話

湧き水(フリー写真)

父が二十代の頃に体験した話です。

私が住んでいる場所は、自然豊かな地域です。

山も海も身近にあり、今でも手漕ぎの小船で海へ出て、魚釣りをされる年配の方が沢山居られます。

海岸沿いに島々が点在しており、その島々の中には真水が湧き出す島もあります。

その真水が湧き出す島のある場所に、雨だれで出来た大きな岩のくぼみがありました。

いつからかそこには湧き出した真水が流れて来て溜まっていたそうです。

ある日、父の幼馴染の男性が庭先の水鉢に丁度良いという事で、その岩のくぼみを切り出して来て庭に置きました。

数日後の明け方、何かが男性の家の壁をトントンと叩きながら、家の周りをぐるぐる歩き回っていたそうです。

音に気付いた男性の奥さんは恐くなって男性の姿を探しましたが、家の中に姿はありませんでした。

それで家の外を見ると、蛇のように舌をぺろぺろ出しながら、家の周りをぐるぐる回っている男性を発見しました。

恐くなった奥さんが家の中でじっと様子を窺っていると、やがて物音がしなくなったので外へ出てみたそうです。

するともう男性の姿は無く、探してみると納屋の中で首を吊って亡くなっていたという事でした。

「島には岩のくぼみに溜まった真水を飲んで暮らしている蛇や小動物が居るので、男性が持ち去った岩のくぼみの水を飲んでいた蛇が怒ったのではないか」

と当時は言われていたそうですが、原因が何だったのかは定かではありません。

関連記事

そこを右

あるカップルが車で夜の山道を走っていた。 しかし、しばらく走っていると道に迷ってしまった。 カーナビもない車なので運転席の男は慌てたが、そのとき助手席で寝ていたと思った助手…

姪っ子に憑依したものは

高校生の夏休み、22時くらいにすぐ近所の友達の家に出かけようとした。 毎日のように夜遅くにそこへ出かけ、朝方帰って来てダラダラしていた。 ある日、結婚している8歳上の姉が2…

廃墟でサバゲー

夏の終わりの頃の話。 その日は会社の夏休み最終日ということもあり、仲の良い8人を集め地元の廃墟でサバゲーをすることにしたんだ。 午前中に集まって、とことんゲームをしようと決…

某宗教団体

某宗教団体(J・W)で、伝説的になっている話をひとつ書き込みます。 ある姉妹(その教団内ではバプテスマ=洗礼を受けた女性をこう呼びます)が、王国会館(集会を開く場所)の周りで草刈…

おどって

一年くらい前に誰かがテレビで喋っていた話。 ある女の子が夢を見ていた。 夢の中で女の子は家の階段を登っている。 すると誰かに足を掴まれた。 振り向くと皺くちゃの…

神秘的な森

角田の森

あれは小学6年の夏休みの事でした。 友人のHとTが角田の森で遊んでいた時、Hが奥の廃屋へ行ってみようと言い出したそうです。 当時、私達は角田の森でよく遊んでいました。 …

初めて見た霊

俺が中学の時の話。 麻雀を覚えたての頃で、仲の良い友達3人(A・B・C)と学校が終わってはAの家に集まり麻雀をやっていた。 Aの部屋は離れにあり、親などに特にうるさくされず…

祖母のしたこと

私の一番古い記憶は3歳。木枯らしの吹く夕方、一人でブランコを漕いでいるところ。 手も足もかじかんで、とても冷たい。でも今帰れば母に叱られる。祖母に迎えに来て欲しい、ここはいつも来…

古民家(フリー写真)

幸恵

戦後すぐのお話。 哲夫という田舎の青年が、カメラマンになるために上京しました。 哲夫には幸恵という恋人が居ました。 幸恵は両親の反対を押し切り、哲夫と一緒に上京。貧し…

海(フリー写真)

海ボウズ

俺の爺ちゃんの話。 爺ちゃんは物心が付く頃には船に乗っていたという、生粋の漁師だった。 長年海で暮らしてきた爺ちゃんは、海の素晴らしさ、それと同じくらいの怖さを、よく寝物語…