カゴカキ

公開日: ほんのり怖い話

葛飾北斎(フリー浮世絵素材)

昔から続く怪異。

愛知県○○市。その昔、少なくとも200年以上前の話。

岡崎城の城下町は、天下を二分するほど賑わっていたらしく、駕籠を担いで人を運ぶ『カゴカキ』と呼ばれる人たちがよく行き交っていた。

そんな中、カゴカキの中に、妙なカゴカキが出始めたようだ。

中に客を乗せながら籠を背負う、前の者も後ろの者も、そして中の客も一様に右を向いている。

すれ違う町民が何だろうと釣られて見るも、特に変わった様子も無い。

妙なものだと思いつつ、暫くして何となく振り返ると、まだ同じ様子なのだという。

客を乗せた所も下ろした所も判らなければ、そこそこ良い身分であろう客の正体も判らない。

そんなモノを見かける町民が次第に増えて行き、城下町の怪異となって行った。

現在も怪異は続いているらしく、どことも知れない工場の送迎バスらしきバスの運転手が、右を向いたまま走行。

そしてすれ違う瞬間、客席の全員右を向いている工場作業員に驚くと共に、頭の中ではお経がこだまするという。

最近、この近辺でこのような噂を耳にするようになった。

関連記事

絵皿

喋る絵皿

小さい頃、祖父が友人宅から鷹の絵の描かれた大きな絵皿を貰ってきた。 それは今でも和室に飾ってあって、特に怪奇現象を起こしたりはしていない。 祖父の友人は骨董商だった。 …

疑問符

ラッキーコール

私は工務店に勤めておりまして、3年程前にある幼稚園までバスの車庫を修理に行った時の事です。 その幼稚園はお寺が経営していまして、車庫は園舎を横に抜けた本堂裏の広場にありました。 …

夜の山

霊感のある女性

あれは去年の秋頃だったと思います。 夕暮れ時、近所に買い物に出た私はふと、その日がいつも買っている雑誌の発売日だったことを思い出し、本屋へと足を向けました。 本屋はスーパ…

蜘蛛の巣(フリー画像)

クモ様

我が家は東北の片田舎にある古い一軒家。 うちでは昔からクモを大事にする習慣があり、家には沢山のクモが住み着いてクモの巣だらけ。 殺すなどもっての外で、大掃除の時もクモの巣を…

登山(フリー素材)

赤い着物の少女

システムエンジニアをやっていた知人。 デスマーチ状態が続き、残業4、5時間はザラ。睡眠時間は平均2〜4時間。 30歳を過ぎて国立受験生のような生活に、ついに神経性胃炎と過労…

彼の予見

昔付き合っていた彼氏の話。 当時高校生だった私は、思春期にありがちな『情緒不安定』で、夜中に一人で泣く事が多かった。 当時はまだ携帯なんて高嶺の花で、ポケベルしかなかったん…

タヌキの神様

俺の姉貴は運が良い人間だ。 宝くじを買えば、ほぼ当たる。当たると言っても、3億円なんて夢のような当たり方ではないのが残念なところだ。 大抵 3,000円が当たる。何回当たっ…

恋人(フリー写真)

本当の霊視

とある心霊系のオフ会に参加した時の話です。 私は霊感がある(手品も上手い)Tさんの車に乗せてもらい、スポットを幾つか回りました。 不思議なのはその人の会話です。 話題…

二人だけの水族館

俺はじいちゃんが大好きだった。 初孫だったこともあって、じいちゃんも凄く俺を大事にしてくれた。 俺はあまりおねだりが得意な方じゃなかったけど、色々な物を買ってくれた。 …

大学の廊下(フリー写真)

鏡に映る私

短い話で、特に面白くも怖くもないかもしれませんが、私が中学生の時に体験した事を話させてください。 私はN県の出身で、私が住んでいる街には地元では少し有名なカトリック系の女子大が…