迷惑電話

公開日: 洒落にならない怖い話

携帯電話

ある日、知らない番号から電話が掛かってきて、おばさんの声で「鈴木さん?」と聞かれた。

でも自分は田中(仮名)なので、「いいえ違います」と答えたら「じゃあ誰?」と言われた。

びっくりしたし少しイラッときたから、「誰って言いませんよ、しかもいきなり失礼じゃないですか」と言ったら電話が切れた。

何だろうと思っていたら、数日後にまた知らない番号(多分同じ番号)から電話。

出てみたらまた同じおばさんが「鈴木さん?」と聞いてくるから、「違いますよ」と言い電話を切って、その番号を着信拒否した。

そして一週間くらい経ってから、今度は別の知らない番号から電話。

『最近変なの多いな?』と思いながら、取り敢えず無言で出たらまた同じおばさんだった。

「鈴木さん? 鈴木さんでしょ?」と何故か嬉しそうに言ってきた。

もう気持ち悪いし無言で切る。

そしたら今度はすぐに電話が掛かってきた。

驚いたけど、いい加減腹が立ったので注意しようと思って出た。

「あっ鈴木さん? 鈴木さんだね?」

また何故か嬉しそうな声。

「ちゃんと見て電話掛けて下さい。違いますって。何回もしつこいですよ」

と怒りながら言ったら…、そのおばさんが男みたいな低い声で、

「うん、だって田中だもんね」

と言い、電話が切れた。

凄く怖くて、その後しばらく電話が掛かってくる度にビクッとした。

関連記事

抽象的(フリー素材)

ムシャクル様

前職が前職だったので、不思議な話を聞く機会はそれなりにあった。 老若男女問わず、「こんなことがあったんだが、何もしなくて大丈夫か」「あれは一体何だったのか」などを寺に尋ねに来る人…

ハサミ

ハサミ女

近所に「ハサミ女」と呼ばれる頭のおかしい女がいた。 30歳前後で、髪は長くボサボサ、いつも何かを呟きながら笑っている、この手の人間の雛形的な存在。 呼び名の通り常に裁ちバサ…

赤い川

赤い川

俺が高野山に住んでいた時、こんな噂話を聞いた。 「昔、坊主専用の廓が、山のどこかにあった」 「その廓は終戦後取り潰されて廃墟になったが、今でも形を保っている」 「そこ…

カーテンの上から

10年以上前の話ですが…。 大阪の某公園で、足を骨折して入院した時の出来事です。 その病院は夜21時に消灯する所で、取り敢えずベッドに横になっていた訳ですが、少し経ってから…

U字溝

実家のある地域では、毎月一回くらい集まって地区の道路の掃除とか酒飲んだりする日がある。 んで、その日は昔からありすぎてもう何を奉ってるかも分からない神社だかお寺を掃除する日だった…

山(フリー写真)

山の掟

親父から聞いた話。 今から30年程前、親父はまだ自分で炭を焼いていた。 山の中に作った炭窯でクヌギやスギの炭を焼く。 焼きに掛かると足かけ4日にもなる作業の間、釜の側…

皺のある手(フリー写真)

祖母の日記

私は大変なおばあちゃん子で、中学になってもよく祖母の家に遊びに行っていました。 父方の祖母なのですが、父親は私が幼い頃に不慮の事故で死去していました。 祖父を早くに亡くした…

パンドラ(長編)

私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。 どう読むのかは最後まで分かりませんでしたが、私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。 私が生まれ育った町は…

版画(フリー素材)

ウヅガアさん

うちは田舎の農家で、母屋と倉、便所に囲まれるように庭がある。 その庭の隅の方に30センチくらいの高さの丸っこい石が置いてあり、正月に餅を供えたりする。父親はその石をウヅガアさんと…

あの時、手を貸していたら…

あれは、私が中学生の時の事でした。塾を終え家路についていた私は、星を見ながらのんびりと自転車を漕いでいました。 時間は22時過ぎだったでしょう。家も近くなってきた頃、前の方に自転…