白い日傘

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

20110214d

今から3年ぐらい前の話になります。

僕は内装工事関係の仕事をしているのですが、その会社の社長と僕と同僚の計4人で仕事が暇になると、よくスキーに行ってました。

僕達の会社は名古屋の郊外にありまして、国道19号を北上するとスキー場まですぐだったのでほんとに良く通っていました。

いつも夜中の0時ぐらいに出発してスキー場には3~4時頃には到着して、一眠りしてから滑っていました。

その日もいつもと同じように0時頃会社に集合して国道19号を北に向かって車を走らせていました。

中津川、土岐を過ぎるあたりから道路も狭くなり、行き交う車もトラックや同じスキーヤーの車ばかりになっていきました。

車は社長が運転していて僕は助手席に座っていました。そして後部座席に同僚のKとYが。

車中は和気藹々と楽しい時間が過ぎていましたが、あるときふと社長が「裏道でも探そうか」と言い出しました。

僕は結構そういう事が好きだったので大賛成でした。

そして車は19号を一本奥に入った山道に進んで行きました。

今考えたら何故社長はあんな事を言ったのか不思議でなりません。いつも通りの道を進んでいたならばあんな目には遭わなくて済んだのに…。

裏道に入ってしばらく走っていると、もう一つ奥に入る道が出てきました。誰も文句なく全会一致で奥の道に入ることに決まりました。

それから5分ほど走ったと思いましたが、そこは何の変哲もない普通の田舎道でした。

道路は舗装してありましたが、両脇はずっと田んぼだらけで、ポツンポツンと薄暗い街頭が立っているだけの普通の道でした。

みんな「こんなもんだろ」という感じでじゃあそろそろ戻ろうかと話をしていたその時です。

街頭の下に白いワンピースを着て日傘を差した女の人が立っていたのです。

『何でこんな時間に』と思い僕は思わず車の時計に目をやりました。

時計は2時過ぎを表示していました。車は大体50キロぐらいで走っていたと思います。

暗いところでしたし、夜中で少し眠たくなっていたので目の錯覚か何かだろうと思うことにしました。

戻る道を探しつつ、5分程そのまま走っていました。するとまた街頭の下に白いワンピースを着て日傘を差した女の人が立っていたのです。

その女性の髪は黒いショートボブで、青白い顔をこちらをに向けていました。

街頭の下だったせいか暗闇に浮かぶように感じられました。恐ろしくなった僕は運転している社長の方を見ました。社長も僕の方を見ていました。

「見た?」

「ええ」

「実はさっきも見たんだけど…」

「えっ僕もです」

「ヤバイよね」

「こわいっすね、マジで」

後を振り返ると2人も顔をしかめていました。そこで僕達は来た道をひき返すかどうするか迷いましたがもう少し走ってみようということになりました。

車のスピードは自然と速くなっていきました。すると1分も経たないうちにまたワンピースの女が街頭の下に立っていました。

もう怖くて声も出ませんでした。社長はハンドルにしがみつくように運転していました。

今度は街頭と街頭の間に、そして次の街頭の下に……気がつくと同じワンピースの女が無数に道路脇に連なるように立っていたのです。

そしてこちらを見ながら「ニヤッ」と笑ながら…。

もう恐ろしくなった僕は頭を抱えて助手席に深く沈みこもうとしたときです。

僕の足と足の間に黒髪の女の顔があったのです。女は僕を見てこう呟いたのです。

「みーつけた」僕は余りの恐怖で気持ち悪くなってしまい意識が遠のきかけたとき「グワシャ~ン」という音と同じに記憶を失いました。

僕達の車は、街頭にぶつかりそのまま田んぼに落ちていました。幸い四駆だったので、そこから出ることは出来ましたが、その日はスキーもやめて戻ってきました。

会社に戻り板やウェアを下ろしているとKが「ウワッ」と声をあげたのです。

そこには荷物の上に白い日傘が一本置いてあったのでした。当然僕達はそんな日傘を持っているはずもありませんし、社長の持ち物でもありませんでした。

改めて僕は背筋に悪寒が走るのを感じました。その後その傘は社長が近くの寺に事情を説明して処分してもらったそうです。

あれ以来、僕は霊の存在を信じることになりました。

関連記事

トンネル(フリー写真)

車の手形

ある日、大学生のカップルが山へドライブに行きました。 夕方になり、辺りが薄暗くなった頃に帰ろうとしたのですが、道を間違えたのか、行きでは通らなかった古びたトンネルに行き着いてしま…

呪われた土地

俺の親友の話をしたいと思う。 小4の頃にそいつ(以下H)の親が二階建ての大きな家を建てた。 建設業を営むHの父親が建てた立派な外観のその家は、当時団地住まいだった俺にとって…

看護婦寮

これはまだ私が日本に居た時の話なので、10年くらい前のことです。もう既にその寮は取り壊されているし、かなりの年月も経っているので文章にしてみました。 未だに当時の細部まではっきり…

前世

僕が15才だったとき、3才の妹が洗面台に置いてあった緑色の除光液を、マウスウォッシュだと間違えて飲んでしまったんだ。 すぐに近所の薬局の人に、誤飲用の薬を持ってきてもらって、妹に…

不気味なタクシー運転手

Fさん(女性・29歳)が深夜勤務の帰り、タクシーを拾った。 ドアが開き、Fさんはタクシーに乗り込んだが、その運転手は何も言わず、ただ黙ってFさんの顔をじっと見ていた。 ちょ…

スーパーマーケット(フリー写真)

台風の日の親子

以前スーパーで働いていた時の話。 その日は台風が近付いていて、午前中は雨になる前に買い物をしておこうと客がいつもより多かった。 夕方を過ぎて雨が本降りになると、客はほぼ来な…

自衛隊での体験談

ちょっと専門用語が多いので分かり難いかもしれない。 高校卒業後すぐに自衛隊に入隊した俺だったんだが、7月の後期教育のある日、駐屯地にある小さい資料館の掃除があったんだ。 班…

日本人形(フリー素材)

闇バイト

以前のバイト現場に、音楽の専門学校に通っている同僚のYさんが居ました。 男性の年上の方で、生活費を稼ぐためにバイトを掛け持ちしていたそうです。 ※ ある日、Yさんが通っている…

雪山(フリー写真)

鎖で封印された祠

『牛の首』という江戸時代から伝わる怪談があるが、俺の田舎にもそれに類する伝説があった。 標高200メートルくらいの山があった。山と言うより、丘に近い感じだ。 地元の人たちは…

林(フリー写真)

墓地に居た女性

霊感ゼロのはずの嫁が、5歳の頃に体験した話。 嫁の実家の墓はえらい沢山ある上に、あまり区画整理がされておらず、古い墓が寺の本堂側や林の中などにもある。 今は多少綺麗に並んで…