メールの送信履歴

P1010050

当時、息子がまだ1才くらいの頃。

のほほんとした平日の昼間、私はテレビを見ながら息子に携帯を触らせていた。

私の携帯には家族以外に親友1人と、近所のママ友くらいしか登録しておらず、悪戯されてもさほどダメージはないので、電話だけロックをかけて渡していた。

そして、しばらくするとメール着信音が鳴った。

何だろうと思いメールを見てみると、見知らぬアドレス…。

迷惑メールだろうかと思いながら開くと

「あなたはだあれ?」

と一言だけ書いてあった。

一瞬ゾッとしたが、私は状況を把握できず、しばらくアドレスを見ながら考えた。

どうやら1才の息子が携帯をデタラメに操作していて、偶然に空メールか何かを送ったら、本当に相手がいたということらしい。

いや、そういうことにしておいた。

それで、相手に悪いので速攻で返信した。

「1才の息子が勝手に操作していて、偶然送ってしまったようです。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

というような内容で返信。

それからメールは来なかった。

でも、何度考えてもおかしい。

特に単語にはなっていない、数字と英字が混ざったアドレス、@マークから後の記号と言い、変換出来るものなのか?

しかもデタラメなアドレスで送信して相手がいたなんて、いくら考えてもそんな奇跡的なことがあるはずがないと思っている。

ただ、私は勘が鋭いので嫌なものは感じた。それ以上詮索しないほうが良いという判断をしなければいけないと思った。

あと、当時はテンパッていたのですぐに確認しなかったのですが、少し後で携帯を確認して気が付いた。

送信履歴に息子が送ったと思われるメールの記録は、全くなかった。

相手が送ってきたメールは、返信後すぐに消去しました。

今でも、詮索せずにいて正解だったと思っています。

関連記事

トンネル

地底と星からの訪問者

小学2年生の時の出来事です。山に囲まれた田舎で育った私は、ある日学校の帰り道で見知らぬおじさんとおばさんに声をかけられました。普段は知らない人にはついて行ってはいけないと教わっていま…

田舎の風景(フリー素材)

垣根さん

中学生の頃の話。 当時は夏休みになると父方の祖父母の家に泊まりに行くのが恒例になっていた。 と言っても自分の家から祖父母の家までは自転車で20分もかからないような距離。 …

夜の窓(フリー写真)

声魂

私自身が体験した怖い話です。 今からちょうど十年前、私がまだ大学生だった頃のことです。 当時、私には一つ年下の彼女が居ました。 彼女は霊感の強い子で、それまでにも様々…

交差点

交差点での時間停止

10年前、僕が小学6年生の時の話です。 ある日、学校からの帰り道、人通りの多い交差点で信号待ちをしていたところ、突然、自分以外の周りの人や道路を走っている車が一斉に動きを止めま…

住宅(フリー写真)

苦労かけるな

夜に2階の自室で、一人で本を読んでいた時のこと。 実家は建てた場所が悪かったのか、ラップ現象が絶えなかった。 自分は単に家鳴りだと思っていたのだが、その日はポスターから音が…

夏みかんの木(フリー写真)

夏みかんの木の神様

少し不思議な話を親から聞きました。 自分の親は今から25年前、八丈島という所に転勤になったそうです。 そこの社宅(一軒家)の庭に、一本の夏みかんの木が植えてあったのですが…

雨(フリー写真)

黒い傘

あまり怖くないかもしれないけど、今日のような雨の日に思い出すことがあるんだ。 高校2年生の夏休みの時の話。 友人二人(AとBとする)と買い物に行っていると、突然雨が降って来…

渦人形(長編)

高校の頃の話。 高校2年の夏休み、俺は部活の合宿で某県の山奥にある合宿所に行く事になった。 現地はかなり良い場所で、周囲には500~700メートルほど離れた場所に、観光地の…

庭の地面

記憶に刻まれた「一度目の死」

物心がついた頃から、私はこう語っていた。 「僕は一回、死んだんだ」 幼い子どもの妄言と思われるかもしれないが、私は本気だった。というより、その“死んだ記憶”は今でも鮮明に…

桜(フリー写真)

初めまして

うちの母方の婆ちゃんの話。 母方の爺ちゃんと婆ちゃんはアメリカ人で、うちの父は日本人、母はアメリカ人。 出張でアメリカに来ていた父と母は恋に落ちた。 交際は当時、無茶…