夏みかんの木の神様

夏みかんの木(フリー写真)

少し不思議な話を親から聞きました。

自分の親は今から25年前、八丈島という所に転勤になったそうです。

そこの社宅(一軒家)の庭に、一本の夏みかんの木が植えてあったのですが、大家曰く、

「植えて十数年経つが一度も実をつけていない」

とのことでした。

※

暫くして母が妊娠したところ、その木に数え切れない程の夏みかんが生っていました。

変な胸騒ぎがした母は、島で有名なシャーマン的な巫女さんに相談したところ、

「この夏みかんの木は神様の宿り木だから、祠を作って奉りなさい」

と言われました。

言われた通りにしたところ、一晩でその夏みかんが全て木から落ちていたそうです。

それで無事に俺を出産。

※

妹を妊娠した時は、その木に実が二つしか生らず、巫女さんに相談すると、

「お腹の子は双子で、この木の神様が二人とも連れて行くと言っている」

と言う。

確かに双子だったらしい。

母は必死に助けてくれと頼んだ。

そうしたら巫女さんは、

「二人は無理です。一人だけなら、何とかなるかもしれない。それでも良いですか?」

と言うので、お願いした。

すると、二つの夏みかんのうち一つを取って来て、家に作り付けの神棚にお供えし、祈り始めたそうです。

祈りが終わると、巫女さんは

「何とか一人だけ助かりました。もう一人は残念ですが、神様に連れて行かれました」

と言いました。

それを聞いて、母は涙が止まらなかったそうです。

それから暫くして出産しましたが、双子の一人は死産でした。

※

この話をする時、母は

「あの時、連れて行かれた子が不憫でならない」

と涙を流します。

妹が生まれてすぐ引越したので、その『夏みかんの木の神様』が良い神様なのか悪い神様なのか、未だ判らないそうです

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