老人の孤独

公開日: 東京伝説

炎(フリー素材)

俺は土木屋なんだけど、ある道路の工事中に近所から煙が上がってたんだよ。

最初は何かを燃やしているだけかと思ったが、どんどん煙の勢いが増して行ったので、見に行ってみると民家が燃えていた。

火事なんて初めて見たので圧倒されたが、急いで110番と119番に電話。

救援が駆け付けるのを待っている間、どんどん火の勢いが増して行くのをただ呆然と見守るしかなかった。

それで家の裏に回ってみると、家主らしいおじいさんがぼーっと立っていたんだ。

かなり危ないので「早くこっちに!」と叫んだが動かない。

仕方ないので強引に連れて行こうとしたが、それでも動かない。

その時点でおかしいと思うよねえ。

「逃げないと死ぬよ!」

と言うと、そのじいさんは

「良いんだよ。自分で火をつけたんだから!俺も中に入って死ぬ!」

だって…。

愕然としたよ。覚悟の放火だったらしい。

目の前で自殺をしようとしている人間は無性に怖い。圧倒される。

ちょうどその時に消防隊員が来たので強引に救出したが、その後も爺さんは警察と揉めていた。

どうもその爺さんは一人暮らしだったらしい。寂しかったんだろうか?

関連記事

俯く女性(フリー写真)

摂食障害の女性

夜中、コンビニの帰りに墓場の前を通ったら女の人が居た。 ガサガサと音が聞こえるので近付いて見ると、何かを食べているようだった。それも大量に。 かと思ったら土の上に嘔吐し始め…

アパートの廊下(フリー写真)

ワンピースの女

知人が体験した話。 ある初夏の早朝、ゴミを捨てに行こうと建物の一階ロビーに降りたら、包帯を両腕に沢山巻いた白いワンピースの女が倒れていた。 その建物のガラス戸はオートロック…

スマホを持つ女性(フリー素材)

宗教勧誘

バイト先に、十日で辞めた男が居た。 仕事は出来たけど目がいっている感じだったので、自分からは話し掛けなかった。 ※ ある日、知らないアドレスから夜中にメールが届いた。開いて見…

窓

呪文を唱えなければ

自分は母方の血をひく霊感の強い親戚が多い中、父方の血が強く霊感はほとんど感じませんでした。そのため、怖い話の特集が載っている雑誌を枕元に置いて、寝る前に読むことも平気でした。 …

塀(フリー写真)

腕がない

これは一年と少し前、実際に見た話です。 家の近くで子供3人が遊んでいる横を自転車で通ろうとした時のこと…。 『何か変やなあ、見間違いかなあ』と最初は思っていたんです。 …

夜道(フリー背景素材)

ガラス玉のような目

数年前に友達とドライブに行った時の事。 結構遅くまで盛り上がって、帰る頃には夜中の2時を回っていた。 ※ 車も人も全く通らない道路を走っていると、前方に人影が。道路の真ん中を…

民家(フリー写真)

無干渉

私は東京と言っても西の外れの方に住んでいるのですが、自宅から百メートルほど離れた所に、小学生時代からの友人の家があるんです。 問題はその友人宅の隣に古い一戸建てがあり、友人曰く、…