ワンピースの女
公開日: 東京伝説
知人が体験した話。
ある初夏の早朝、ゴミを捨てに行こうと建物の一階ロビーに降りたら、包帯を両腕に沢山巻いた白いワンピースの女が倒れていた。
その建物のガラス戸はオートロックで、女は扉の内側に倒れていたのだが、外に出るためにはその女を乗り越えなくてはならない。
死んではいないようなので、取り敢えず「どうしたの?」と声を掛けたら「トイレを貸して下さい」と言うので、声を掛けた手前断れなくて貸したという。
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実は同じ時、私はその知人宅で前夜酒盛りをして、奥の部屋で寝ていた。
上の話も目が覚めてから聞かされたのだが、問題のトイレに入ったところ、ドアノブ近辺に血の固まったような跡が…。
女はトイレを出た後、どこへ行ったのか判らない。
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今にして思うと、所謂リストカット癖のある女が一階の誰かの部屋に入れてもらえずに、ドアの前で夜を過ごしたのだろうと察しが付くが…。
当時は物凄く不気味で、暫くは何かと言うとその女の話になった。
とにかく知人と二人で必死にドアを消毒したよ…。