ガラス玉のような目

公開日: 東京伝説

夜道(フリー背景素材)

数年前に友達とドライブに行った時の事。

結構遅くまで盛り上がって、帰る頃には夜中の2時を回っていた。

車も人も全く通らない道路を走っていると、前方に人影が。道路の真ん中をフラフラと歩いている。

最初は酔っ払いかと思ったが、近付いて見ると小学生の子供だった。

こんな夜中に?

俺達は瞬時に楽しい気分が吹っ飛んだ。多分誰もが『幽霊か?』と思っただろう。

スピードを落としてよく見ると、ちゃんとした人間のようだった。

そのまま見過ごすのは不憫だと思った俺達は車を停め、少年に近付いた。

俺が車を降りて

「何してるの?」

と聞くと、少年はボソッと

「遊んでた……」

と言う。

夜中の2時に子供が遊んでいた?

その時点でかなり怖かったんだけど、一応家まで送る事にした。

車に乗せて話を聞いても要領は得ない。何と言ってもその少年が終止無表情だったのがゾッとした。

特にその目。俗に言う「ガラス玉のような目」に初めて遭遇した。

その時の印象は『ああ、この子は人を信用してないんだな』というものだったな。

暫く走ったところで、その子が

「ここでいい……」

と言うので降ろした。

「本当にここでいいの? 家まで送る?」

と聞いてはみたものの、内心ホッとしていた。

後から友達にその時の話をすると、みんなかなり怖かったらしい。

ただの少年にここまで恐怖するとは思ってもみなかった。

最初に浮かんだ言葉は「虐待」と言う言葉だった。

親に虐待され、完全に人を信用していないとあんな目をするのかな…と思うと悲しくなった。

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