壁の内側を撮ってしまった
売りに出る前の空き家で寸法を測っていると、廊下の長さと各部屋の内寸が、どうしても畳一枚半ぶん合わなかった。畳の上を白く細いものが這い、私の問いかけに頷くように曲…
売りに出る前の空き家で寸法を測っていると、廊下の長さと各部屋の内寸が、どうしても畳一枚半ぶん合わなかった。畳の上を白く細いものが這い、私の問いかけに頷くように曲…
秦野の丘の分譲地で、私はあの家の二階の電気を一度も点けませんでした。八月の蒸し暑い夜、階下で玄関の鍵が回る音がします。忍び足で階段をのぼってくる気配から、私は屋…
川べりの古いアパートの向かいで、少女は毎晩ベランダから星を見上げていた。話しかけると、風が吹くたびに、こくりと頷く。けれど向かいの棟は、五年前から誰も住まない空…
いなくなった犬や猫が、なぜか必ず見つかる古い空き家があった。塀に抜け道はなく、戸締まりも完全なまま。それでも動物たちは、閉ざされた庭で雨戸を見上げて座っている。…
夜勤明けの深夜、空き家のはずの古い理髪店の板壁に、つまずいて右手を突っ込んでしまいました。すると壁の中から、汗ばんだ生暖かい手が、私の指を一本ずつ握り返してきた…