木守りの柿を取った日の梯子
空き家の庭木整理で、私は依頼書どおり木守りの柿を最後の一つまで取った。幹に掛かった古い木製の梯子、乾いた土に残る濡れた足跡、隣家の老婆の礼。夕方の写真には、梯子…
空き家の庭木整理で、私は依頼書どおり木守りの柿を最後の一つまで取った。幹に掛かった古い木製の梯子、乾いた土に残る濡れた足跡、隣家の老婆の礼。夕方の写真には、梯子…
売りに出る前の空き家で寸法を測っていると、廊下の長さと各部屋の内寸が、どうしても畳一枚半ぶん合わなかった。畳の上を白く細いものが這い、私の問いかけに頷くように曲…
運送会社の空き家倉庫で、二階には上がるなと言われた忠告を破ってしまった夜。階段を後ろ向きに昇った友人は、奥の部屋で、さしあげますから、と繰り返し呟いていた。入院…
秦野の丘の分譲地で、私はあの家の二階の電気を一度も点けませんでした。八月の蒸し暑い夜、階下で玄関の鍵が回る音がします。忍び足で階段をのぼってくる気配から、私は屋…
川べりの古いアパートの向かいで、少女は毎晩ベランダから星を見上げていた。話しかけると、風が吹くたびに、こくりと頷く。けれど向かいの棟は、五年前から誰も住まない空…
いなくなった犬や猫が、なぜか必ず見つかる古い空き家があった。塀に抜け道はなく、戸締まりも完全なまま。それでも動物たちは、閉ざされた庭で雨戸を見上げて座っている。…
夜勤明けの深夜、空き家のはずの古い理髪店の板壁に、つまずいて右手を突っ込んでしまいました。すると壁の中から、汗ばんだ生暖かい手が、私の指を一本ずつ握り返してきた…
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