赤い誘導棒は右を指す
深夜の物流団地で、ナビは同じ案内を五回繰り返した。分岐に立つ人影が振る赤い誘導棒は、いつも暗い側道を右へ指している。前任の先輩が残した付箋の三行目の意味を、私は…
深夜の物流団地で、ナビは同じ案内を五回繰り返した。分岐に立つ人影が振る赤い誘導棒は、いつも暗い側道を右へ指している。前任の先輩が残した付箋の三行目の意味を、私は…
深夜の配送中、見覚えのない分岐に入った長距離トラック運転手。辿り着いた谷間の集落では時計が止まり、星のない空が広がっていた。県道に戻ると六時間が消えていた。…
築四十年の古いマンションに越した夜から、深夜一時を過ぎると廊下の足音が部屋の前でぴたりと止まるようになった。隣人の忠告、一度だけ回ったドアノブ、そして管理会社が…
十年近く前、深夜の幹線道路を歩いて帰った夜のことです。バス停ごとの電話ボックスで、受話器はいつも電話機の上に置かれていました。かすかな香水の匂いと、返却口に戻っ…
山陰の小さな町、深夜二時の国道沿いのコンビニ。漫画を読む俺の前の道を、白い傘を差した人が三度通り過ぎた。店の傘立てには誰のものでもない白い傘が一本。帰り道、その…
古いアパートで、ほぼ同じ時刻に二人が戻らぬ姿になっていた。夜十一時に鳴る電話と、受話器から聞こえる三文字の言葉。電話を取った人は助かり、遅れた人にだけ訪れるもの…
真夜中のコンビニ帰り、ビルの隙間にハイヒールの女性が消えた。翌日の昼は、行き止まりの壁。次の夜は子どもが入っていき、暗闇から伸びた手が私の腕を掴む。地図アプリの…
従妹の合格祝いの席で叔母を叱った夜、庭を回る足音を聞いた俺は、車庫へ逃げた。ライトの先に立っていたのは、叔母とスコップ。だが姉は、その叔母と縁側でお茶を飲んでい…
深夜の商業ビルで警備員をしていた私は、午前三時、屋上を映す監視カメラに白い人影を見つけました。天使だと思おうとしたそれは、夜ごと一階ずつ階段を降り、私のいる警備…
夜中に屋上から双眼鏡で街を眺めるのが、私のひそかな趣味でした。ある晩、坂の途中の自動販売機の脇に立っていた、痩せて骨の浮いた白い影。目が合うと、それは満面の笑み…
深夜の雑居ビルでエレベーターの扉が開くと、そこは一階のロビーではなく、夜の野原だった。匂いも、音も、確かにあった。降りなかった私に警備員が漏らした一言が、今も忘…
夜勤明けの深夜、空き家のはずの古い理髪店の板壁に、つまずいて右手を突っ込んでしまいました。すると壁の中から、汗ばんだ生暖かい手が、私の指を一本ずつ握り返してきた…
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