あいつはいつも手を後ろで組んだ
鳴門の居酒屋で、高校からの友人Fが「いつ戦争、終わったんだっけ」と言い出しました。年表のずれは全部きっかり十一年。左利きだったはずのFが右手で箸を持ち、剣山の行…
鳴門の居酒屋で、高校からの友人Fが「いつ戦争、終わったんだっけ」と言い出しました。年表のずれは全部きっかり十一年。左利きだったはずのFが右手で箸を持ち、剣山の行…
中学三年の冬、私は間違えた問題のページだけ、解答冊子の角の右上を爪で折る癖がありました。模範解答の誤りに赤ペンで斜線を入れて夕飯から戻ると、赤い線も折り目も消え…
塾帰りの歩道橋で、突然すべての車も鳥も枯れ葉さえも静止し、時間が止まりました。目の前に現れた継ぎ目のない灰色の男女は、私を見て「あ」とつぶやき——。小学五年の秋…
最終電車で眠り込み、目を覚ますと、終点は、真っ白なドームの駅でした。読めない駅名、灰色の人々、橙色の空。家にも、電話が、つながりません。私が、その異空間から持ち…
高校の中庭で、世界がぴたりと止まった、あの十秒間。視覚以外の五感がすべて消えたその時を境に、親友との関係も、座席も、自分の記憶までもが、少しずつずれ始めました。…
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