曾祖父が持ち帰った髪を納めた箱
実家の仏間の戸棚に、髪を納めた箱が一つあります。坊主だった曾祖父が、山を越えた先の村から持ち帰ったものです。村ぐるみで隠されていた業と、藪の中の盛り土から出てき…
実家の仏間の戸棚に、髪を納めた箱が一つあります。坊主だった曾祖父が、山を越えた先の村から持ち帰ったものです。村ぐるみで隠されていた業と、藪の中の盛り土から出てき…
平成六年、千葉・佐原の川沿いの借家。宛名のないビデオテープに映っていたのは、暗い部屋で誰かと話す女と、押入れへ入っていく後ろ姿でした。明かりが点いた瞬間、そこは…
深夜の峠を運転していると、同じ道端の地蔵が三度もライトに浮かびました。助手席の山根は俯いたまま、自分の家の庭に埋まっているというものの話を続けます。彼が低い声で…
大阪の小さな製本所で夜業をしていた十九の秋、誰もいない裁ち場から紙を揉む音が聞こえるようになりました。丸めた紙を放っておいてはいけないという親方の決まりごと。そ…
わたしの実家には、相手に悪夢を見せる歌が代々伝わっている。開かずの仏間の隅には戒名のない黒い木札があり、母はその前にだけ塩を供えた。婚約者にこの話をできずにいる…
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