死神の生まれ変わり

Bleach_Death_God_by_dvdinfiniti

俺の昔からの友人がよく死体に遭遇する。

中学時代、一緒に海に遊びに行ったら水死体を見つけた。

その時、既に5回も人の死体を見たことがあったそうだ。

まあ、中学生男子は誇張してなんぼの世界だから、「すげー!」なんて言いながらも半信半疑だった。

でも、それから俺が知ってるだけで奴は8回程、不慮の死に遭遇している。

普通、人の死に立ち会うなんて早々ないだろ?

奴は死神の生まれ変わりなんじゃないかと思える程だ。

そうと思える事件に奴と二人で遭遇したことがある。

塾の帰り、奴と二人で三鷹駅の2番線ホームで電車待ちしていた時。

忘れもしない1997年5月の水曜。

前に中肉中背のサラリーマンが立っていた。確か、雑誌でも読んでたんだと思う。

電車が入線するアナウンスが流れても、サラリーマンに異変はなかった。

でも、電車がホームに入ると思われたその時、突然サラリーマンが後ろを勢いよく振り向き、友人を凝視したかと思うと、そのままの体勢でまるで誰かに押されたかのように横に硬直した姿勢で倒れた。

その先はよく憶えていないが、「ガーン」という音と、ブレーキ音…それだけだった。

なぜサラリーマンは背後に目をやったのか。

どうしてあんな不思議な態勢で飛び込んだのか。

不思議だが、友人が関係しているのではないかと思わざるを得なかった。

奴とは今でも交流はある。

結婚して、子供も生まれて幸せに生活しているらしい。

しかし未だに2年に1、2回のペースで死体に遭遇しているらしい。

関連記事

コンビニ

未来のコンビニ

俺が6歳の時の話だ。その頃の俺は悪戯が大好きで、しょっちゅう親に叱られていた。 いつものように「こんな家出てってやるー」と泣きながら言い放ち、家を飛び出す。でも、いつも夕飯時に…

オオカミ様の涙(宮大工6)

ある年の秋。 季節外れの台風により大きな被害が出た。 古くなった寺社は損害も多く、俺たちはてんてこ舞いで仕事に追われた。 その日も、疲れ果てた俺は家に入ると風呂にも入…

案山子の神様

田舎住まいなので、通学時にはいつも田んぼの脇道を通っていた。 その日も家に帰るため、いつものように田んぼの脇道を、カエルの鳴声を聞きながら歩いていた。 すると田んぼの中に、…

天井(フリー素材)

十時坊主

ある日、バイト先に群馬生まれの男が入って来た。 そこでの俺は勤務年数が長かったので、入って来るバイトに仕事の振り分けや作業指導などの仕切りをやっていた。 仕事を共にして行く…

エスカレーター

私がビル警備員のバイトをしていた時の話です。 場所は都内のSデパートですが、当時でも既に一般的な設備は乏しく防火シャッターの開閉は勿論、エスカレーターやエレベーターの設定変更等も…

煙草を持つ手(フリー素材)

マイルドセブン

先月、仕事で千葉のホテルに一週間ほど滞在した。そこは普通のビジネスホテルで、滞在2日目の夜の事。 タバコが切れたので階に設置されてる自販機で買おうと部屋を出て、自販機の所まで来た…

山道

お遍路さんの道標

俺は九州出身なのだが、大学は四国へ進学した。以下はゼミの先輩から聞いた話だ。 四国と言えば八十八ヶ所霊場巡りが有名だが、昔は大変だったお遍路も今では道が整備され、道標も各所にあり…

病院の老婆

一年程前の話です。当時、私はとある病院で働いていました。 と言っても看護師ではなく、社会福祉士の資格を持っているので、リハビリ科の方でアセスメントやケアプランを作ったり、サービス…

糸と縫い針(フリー写真)

祖母の糸切りばさみ

20年程前の話。田舎で祖母が亡くなった時のこと。 母方の実家は地元では名士で、医者でも教師でもないのに、祖父は周りから先生と呼ばれていた。 そういう人なので、あちこちに愛人…

タクシー(フリー写真)

契約書の拇印

俺の親父の話を書きます。 親父はタクシーの運転手をしています。 夜中2時を過ぎた頃だったそうです。40代くらいの一人の男性が病院から乗って来ました。 行き先は違う近…