光の誓い

公開日: 不思議な体験 | 怖い話

E1396347716118_3

近所の「霊感おばさん」から夏祭りの時に聞いた話。

霊感おばさんの相談者の女性が、幼稚園時代に体験した話だそうです。

私は幼稚園の頃に「光の誓い」という曲を歌った事を覚えている。

だけれど大人になった今「光の誓い」がどんな歌だったのか覚えていない…。

今でも大切に取って置いている幼稚園の頃の歌の本にも載って無いし、ネットとかでも色々調べてみたけれど同じ名前の童謡は無かった。

曲名の似ている曲を幾つか調べてみたけれど、どうもどれもメロディが違う。

「光の誓い」を教えてくれたのは私の居たチューリップ組のU先生だった。

チューリップ組ではとても人気のある歌だったが、私には何か「怖い」と感じる曲で、あまり好きにはなれなかった…。

どう怖かったのかは上手く説明出来ないのだが、難しい歌詞と、なんとなく暗い音程のメロディが嫌だった。

あと、気になる事も一つ体験している…。

チューリップ組全員で近所の神社の森に遠足に行った時の事だ。

U先生が「さあ、みんな? 神社にこれからちょっとだけ冒険に行きますよ!」と急に言いだしたのだ。

私は「藁で作ったお人形」を持っていた。

それはU先生に手伝って貰いながら作った人形で、チューリップ組の皆も一体づつ持っている。

ちなみに、この遠足で大人はU先生しか居なかったと思う。

手元にあるアルバムにもこの遠足の事は書かれていない…。

神社に着くが、U先生は森の奥へとどんどん入っていく…。

園児も大分疲れて来た。その内に真黒な3本の木のある雑木林に出た。

U先生が釘と金槌をリュックから取り出し

「皆さん!お人形さんを木にくっつけてあげましょうね!」

と言った。

U先生に手伝って貰いながら沢山の「藁のお人形」が真黒い木に打ち付けられていく。

最後にみんなで「光の誓い」を歌った。

歌いながら泣き出す子や、何かに怯えて強く目を閉じている子も居た。

この歌声には、お経を逆再生した様な不気味な声が混ざっていたような気がしました。

森から出ると、もう空は夕焼けだった。

神社の傍にあった公園に園児を集めて「はい!自由時間ですよ」とU先生は言った。

ほんの短い間、かくれんぼをしたりして遊んだ後、幼稚園に戻った。

翌日、熱を出したり、手に怪我をしたりしてチューリップ組の園児の何人かが休みました。私もその一人です。

数日後に熱が引いて幼稚園に行ってみると、U先生は幼稚園のどこにも居ませんでした。

「U先生はどこ?」と私は組中の友達にU先生の事を聞きましたが、皆「わからない」「もう幼稚園を辞めちゃった」とか言います。

というか初めから「U先生など知らない」と言う子もいました。

遠足の事も覚えている子は少数でした。

U先生はもう幼稚園を辞めていたのでしょうか?

お別れ会があったという話も聞きませんし、アルバムにもU先生の顔は写っていないのです。

今思うのですが、あれは普通の遠足では無かったのだろうと思います。

幼稚園の他の先生達にも「U先生はどこ行ったんですか?」と聞きましたが、変な顔をされるだけでした。

その内に何故か幼稚園ではU先生の噂をする事が禁止されてしまいました。でも、当然ですよね?

何せU先生の名前のUは「うでちぎり」というのだから。

どう考えても人間の名前じゃありませんよね。

関連記事

校庭

消失の謎

会社の後輩に聞いた、その子の友人(Aさん)の話です。 Aさんが小学生の時、彼女はとても積極的で、休み時間には校庭で他の子どもたちとドッジボールを楽しんでいました。ある日、チャイ…

異世界村(長編)

自分の体験した少し現実味のない話です。 自分自身、この事は今まで誰にもしたことがないし、これからも話すつもりはありません。 それにこの書き込み以降、僕が他人と話ができる状況…

餓鬼魂

もう30年程前になるか、自分が小学生の頃の話。 当時の千葉県は鉄道や主要街道から少し奥に入ると、普通に林が広がっていた。 市内にはそう広くない林が点在し、しかも民家から距離…

禍垂(かすい)

昔まだ十代の時で、して良い事と悪い事の分別もつかない時の話。 中学を出て高校にも行かず、仕事もせずにツレとブラブラ遊び回ってた。 いつものようにツレから連絡があり、今から肝…

優しい抽象模様(フリー素材)

ともだち

最近、何故か思い出した。子供の頃の妙な「ともだち」。 当時の自分は両親共働きで鍵っ子だった。とは言っても託児所のような所で遊んで帰るので、家に一人で居るのは一時間程度。 そ…

田舎の夜(フリー写真)

田舎の不思議な行事

これは今から約15年前、南伊豆の小さな村で私が実際に体験した、怖いと言うより少し不思議な話です。 小学3年生の夏。私たち家族(父・母・私)は、お盆休みを伊豆のK村という場所で過…

トンじい

私の出身地は、古くから部落差別の残る地域でした。 当時、私は小学生でした。部落差別があると言っても、それは大人の世界での話で、幼い私には差別など解りませんでした。 子供同士…

ブランコ

異なる世界から

これは私が小学四年生の頃の話です。当時、私は地名が○○団地という、一戸建てが集まるような地域に住んでいました。その地域は既に高齢化が進んでおり、同級生はほとんどおらず、私は自然と兄と…

和室(フリー写真)

連鎖と数珠

一年経ってようやく冷静に思い出すことができるようになった出来事がある。 去年のちょうど今頃の話だ。 その日は金曜日で、俺は会社の同僚数人と何軒かの店をハシゴして、すっかり良…

山道

迷子の標識

9年前の12月23日、東京から沼津までバイクで旅に出た。 夜の帰り道、1号線から熱海方面に適当に折れようとした。深夜の2時頃、前を走るブルーバードが曲がった南方向に私もついてい…