記憶にない女の子

公開日: ほんのり怖い話 | 不思議な体験

教室(フリー写真)

このエピソードは、私の友人であるAさんが小学校6年生だった頃の出来事である。

ある休み時間、彼女は友人とトイレでおしゃべりをしていました。

すると、トイレの入り口が突然開かれ、一人の少女が入ってきました。

彼女たちはその少女を知っていました。

少女が追いかけられているのだと思い、彼女たちは掃除用具入れの扉を開け、

「早く、こっちへ」

と、少女を中に入れるよう促しました。

しかし追いかけている人物は現れず、少女が困っている状況に対処するため、彼女たちは少女をかくまうことに決めたのです。

すると、いたずら好きのAさんが少女が入っている用具入れの扉に足をかけ、少女が中から出られないようにしました。

用具入れの扉は、通路側に開けなければ開かないため、少女は内側から扉を開けることができませんでした。

彼女たちは少女のために平静を装い、扉を押さえることによって、彼女を守ろうとしました。

その後、少女が激しく扉を叩き始めました。

彼女たちは少女のために、さらに力を入れて扉を押さえ、彼女を守り続けました。

しかし、扉を叩く力は徐々に弱まり、ついには何の音もしなくなってしまいました。

それ以降、少女は出てくることはありませんでした。

周りの女の子たちも不安になり、Aさんに扉を開けるように目配せをしました。

仕方がなくAさんは少女に声をかけながら、用具入れの扉を開けましたが、中には誰もいませんでした。

少女は消えたのです。

この出来事は学校全体に広がり、同様の話も出回って、全校集会まで開催される事態に発展しました。

数十年経った今も、Aさんは

「確かに、あの子は知っている子だったけど、彼女の名前や学年、クラスがどうしても思い出せないの」

と言っています。

関連記事

逆光を浴びた女性(フリー素材)

真っ白な女性

幼稚園ぐらいの頃、両親が出掛けて家に一人になった日があった。 昼寝をしていた俺は親が出掛けていたのを知らず、起きた時に誰も居ないものだから、怖くて泣きながら母を呼んでいた。 …

今の死んだ人だよな

この4月の第3土曜日のことなんだが、自分は中学校に勤めていて、その日は部活動の指導があって学校に出ていた。 その後、午後から職員室で仕事をしていた。その時は男の同僚がもう二人来て…

山

山の神社と巫女の幽霊

これは5年前の話です。当時の私は浮浪者で、東京の中央公園での縄張り争いに敗れ、各地を転々とした後、近畿地方の山中の神社の廃墟に住むようになりました。 麓へ下り、何でも屋として里…

笈神様(おいがみさま)

その日の夜、私は久し振りに母に添い寝してもらいました。母に「あらあら…もう一人で寝られるんじゃなかったの」と言われながらも、恐怖に打ち勝つ事は出来ず、そのまま朝を迎える事となりました。…

木造校舎

青い手首

ネタではありません。実際の体験談です。 世田谷区立某小学校での出来事。 ※ 入学して1年間は、戦前からある古い木造校舎で過ごしました。 2年生になった頃に木造校舎の建て…

沼(フリー写真)

そこなし沼にて

親父は教師をしており、俺は小学二年生まで教員住宅に住んでいた。 俺の家の裏は林になっていて、そこに『そこなし沼』と呼ばれる沼があった。 その周りではクワガタが沢山捕れるの…

お酒(フリー写真)

悪夢を見せる子守唄

もう時効だと思うから投稿します。 うちには代々伝わる『相手に悪夢を見せる子守唄』というものがある。 何語か判らないけど、詩吟などに近い感じで、ラジオ体操の歌ぐらいの長さの…

山(フリー写真)

一つ目のおじちゃん

子供の頃、家族で山に行ったことがある。 山に着いたのはまだ朝方で、霧が辺りを覆っていた。 僕は親の言い付けを守らず、一人で山中に歩き入り、当然のように迷子になってしまった。…

トンネル

地底と星からの訪問者

小学2年生の時の出来事です。山に囲まれた田舎で育った私は、ある日学校の帰り道で見知らぬおじさんとおばさんに声をかけられました。普段は知らない人にはついて行ってはいけないと教わっていま…

病院(フリー写真)

毬突きをしている女の子

ある病院での話。 病理実習でレポートを提出する役になった実習生のAは、助手から標本室の鍵をもらう時にこんな話を聞かされました。 「地階の廊下で、おかっぱ頭の女の子がマリつき…