人生のやり直し

天国(フリー画像)

俺は一度死んだことがある。

これだけだと訳が解らないと思うので詳細を説明する。

小一の頃、夏休みが終わり二学期が始まった。運動会や遠足もあったし、毎日普通に生活していた。

ところが、12月のある日のこと。

その日は天気がとても悪くて雷も凄かった。

信じられないことに、何と雷が俺の家に落ちた。

その時、一緒に家に居た姉(当時17歳)と俺は火事で死んでしまった(と思われる)。

それから俺と姉は見知らぬ空間に居て、俺は何が何だか状況がよく解らなかった。

しかし姉が、

「死んでしもたけん、やり直しするやろ?」

と意味不明なことを言う。

俺は取り敢えず「うん」と返事をした。

気が付いたら自分のベッドの上。

しかも何故か現在は夏休みであるという認識まで出来ている。

それからまた俺は二学期の生活を過ごした。

誰にもこの話は出来ないし(してはいけないと思っていた)、そのままの生活を続けた。

中一になった頃にそのことを思い出し、勇気を出して姉にその話をした。

すると姉は、「もうその話はえーやろ」と半笑い。つられて俺も「そやな」と笑って返した。

これはどう考えても夢ではない。

以前、「自分は地震で死んだはずだ」と書いていた人が居たが、その体験談とほぼ一緒。さっきその投稿を読んで何故だか涙が出た。

同じ経験をした人が居ると思うと恐いような気もするし、反面嬉しいような気もする。

関連記事

ろうそく(フリー写真)

蛇を奉って欲しい

昔、化粧品店とエステサロンを兼ねた店に働いていた。 事情があり、店長の家に住み込みすることになった。 いつも店長は遅く出勤して来た。 「頭が痛い」「体が重い」と口癖…

コンビニ

未来のコンビニ

俺が6歳の時の話だ。その頃の俺は悪戯が大好きで、しょっちゅう親に叱られていた。 いつものように「こんな家出てってやるー」と泣きながら言い放ち、家を飛び出す。でも、いつも夕飯時に…

山道

迷子の標識

9年前の12月23日、東京から沼津までバイクで旅に出た。 夜の帰り道、1号線から熱海方面に適当に折れようとした。深夜の2時頃、前を走るブルーバードが曲がった南方向に私もついてい…

竹林(フリー写真)

告別式の帰りに

可憐な女子高生だった頃の話です。 中学時代に親しかった友達が亡くなり、当時の担任の先生と一緒に告別式に出た帰りのことでした。 私は友達が亡くなったことがショックで、泣いた…

異界の夜

禁足の神社と小さな神主

夏の時期に体験した、不思議で、どこか気味の悪い出来事です。 それは今から3年前、私が21歳だった頃の夏。ちょうど8月の二週目のことでした。 大学に通うために上京していた私…

お婆ちゃんの手(フリー素材)

牛の貯金箱

小学生の頃、両親が共働きで鍵っ子だった俺は、学校から帰ると近所のおばあちゃんの家に入り浸っていた。 血縁者ではないが、一人暮らしのばあちゃんは俺にとても良くしてくれたのを覚えてい…

田舎の風景

白ん坊

このお話の舞台は詳しく言えないけれど、私の父の実家がある場所にまつわるお話。 父の実家はとにかくドが付く程の田舎。集落には両手で数えきれる程しか家がない。 山奥なので土地だ…

町並み

存在しない昭和の町並み

これは高校1年の夏休み、田舎の高校に通っていた時の話です。 部活動が終わったのは20時。その後、部室で友人たちと怖い話をして盛り上がり、気がつけば23時を回っていました。私たち…

人面犬

9月頃、旅行で東北のある県に行った。ついでに遠い親戚に顔を出す事になった。 結構な田舎で従姉妹夫婦と子供、旦那の両親が同居してて俺は初見で挨拶したりしてた。 お父さんが熱帯…

夜の山

霊感のある女性

あれは去年の秋頃だったと思います。 夕暮れ時、近所に買い物に出た私はふと、その日がいつも買っている雑誌の発売日だったことを思い出し、本屋へと足を向けました。 本屋はスーパ…