青い手首

木造校舎

ネタではありません。実際の体験談です。

世田谷区立某小学校での出来事。

入学して1年間は、戦前からある古い木造校舎で過ごしました。

2年生になった頃に木造校舎の建て替えで、自分のクラスだけが他の校舎と離れた体育館脇のプレハブの仮校舎で勉強することになりました。

一番近いトイレは体育館の近くの離れにあり、昼間でも薄暗く、男女兼用で汲み取り式のため、いつも異臭が漂っていました。

便壷への転落事故が過去に何度もあり、低学年は個室に入ることを禁止されていましたが、新しい校舎の便所が遠く、よく女子もその便所の個室で用を足していました。

ある日の休み時間、トイレに行くと真ん中辺りの個室が一つ閉まっていました。

悪戯好きの自分は女子が入っていると思い、その個室の戸を叩いたり、「お~い誰が入ってるんだ~」と叫んだりしたのですが、中からは返事は返ってきませんでした。

戸も引っ張ってみたんだけど、鍵が掛かっているらしく開きませんでした。

その後もその個室の戸だけが閉まっており、幾度となく戸を開けようと引っ張りましたが開きません。何かの故障で閉鎖しているんだなと思いました。

1週間くらいして休み時間に用を足しに行くと、その個室の中から「カラカラカラ」とトイレットペーパーを引っ張る音が聞こえてきました。

自分は怖くなり立ちすくんでしまいましたが、A君が「誰か入ってるの?」と聞いたら、個室から「鍵が開かないの、助けて」と返答がありました。

声の主はすぐにクラスのN美だと判りました。彼女はおとなしい子で、今思えば陰鬱な子供です。

B君がすぐに先生を呼びに行き、大人2人かかりで戸を引っ張って無理矢理開けました。

個室の中は凄い事になっており、床一面にトイレットペーパーが散乱していて、トイレットペーパーには所々に血が付いていました。

N美は呆然として便器にまたがり、立ち尽くしていました。

すぐに先生が保健室に連れて行き、その場に残された自分たちは怖いもの見たさに個室に入ってみました。

臭い便壷の中を覗くと、何と青い手首が、干からびた大便の山の中から生えていたんです。

3人とも物凄い勢いで教室に戻り、その事をみんなに話しました。

そしたらクラスの殆どのやつが見に行き目撃しました。

みんなで出した結論は、あれは粘土の作り物だという事になりました。

それにしてもリアルで、到底小学生には作れそうもないようなものでした。

翌日、N美は何事もなかったかのように登校して来ましたが、いくら聞いても「覚えてない」と返答するだけでした。

個室の方も翌日には使用禁止の紙が貼られ、男子も女子もそのトイレは怖くて使わなくなりました。

時が過ぎて冬になり、漢字の書き取りをしていた時に、教室の真下辺りから「どすんっ、ガラガラ」という音が静かな教室に響き渡りました。

崖が崩れるような音です。外も見ましたが、何事も起きていないようです。

先生も「小さな地震でもあったんだろ」と言っていました。

春休みにN美は真相を語らぬまま転校して行きました。

噂ではM沢病院に入院したとも聞きましたが…。

3年の夏休みになり、2学期から新築の校舎に移ることになっていました。

夏のプール授業に行ったらちょうどプレハブを壊しているところで、よく見てみると床のコンパネを外していました。

2、3枚外したところで怒鳴り声が聞こえ、現場は騒然としてきました。

何事かと思い、工事のオッサンを振り切りながら駆け寄って床の下を覗くと、2メートル×5メートル×深さ2メートルくらいの範囲が陥没していました。

陥没している土の中から、骨と思われる白いものが多数と、何とあの青い手首が見えました。

これも10人くらいのクラスの人間が見ています。

その後の話では、陥没したのは防空壕で、出てきた骨は防空壕とは関係ない相当古い人骨だということを聞きました。

誰も入れない個室に入っていたN美の行動は?

そして、あの青い手首は何だったのでしょうか?

今でも謎です。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

ビジネスホテルの窓(フリー写真)

ビジネスホテルでの心霊体験

学生の頃、都内の某ビジネスホテルで警備のアルバイトをしていた。 従業員が仮眠を取る深夜0時から朝の5時まで、簡単なフロント業務と見回り。 あと門限過ぎに戻って来る泊り客に、…

自動販売機

赤いランドセルの少女

私の大学は結構な田舎でして、羽根を伸ばす場所がこれと言ってありません。 そういう事情に加え、学生の多くが車を所有していることもあり、必然と連れ立ってドライブに行くことが遊びの一つ…

新小岩駅(フリー写真)

腕を探す男

少し前の事だが、JR新小岩駅のホームで変な男を見た。 サラリーマン風の男が、 「僕の腕知りませんかー」「僕の腕知りませんかー」 と甲高い大声を上げながら、ホームを行っ…

和室(フリー写真)

あき様

私の家は代々旅館を営んでおり、大きな旅館のため私が幼少の頃も両親共に忙しく、会話をした記憶も殆どありませんでした。 店の者が毎日学園まで迎えに来るので、学友と遊びに行く事も出来ず…

蝋燭(フリー写真)

お地蔵さん

私の地元では年に2回「お地蔵さん」という行事と言うか、お寺のお参りイベントみたいものがあるんです。 あるお寺に行き、あの世で幸せにしていて欲しい亡くなった方の名前を読み上げて、…

きらきらさん

差し障りがあるといけないので、時と場所は伏せて書きます。 そこの施設内で、度々動物の惨殺死体が発見されるのです。 そこにいた子供に聞くと「きらきらさんがやった」と言います。 「きらき…

夜の学校

夜の学校

小学6年生の夏休み直前の話。その日、僕は肝試しに誘われていた。 メンバーは友達の新堂君、荒井君、細田君、僕の4人。舞台は学校だった。 昼休みに新堂君が通用口の鍵を開けたとの…

ダム

迷い込んだ農家

以前付き合っていた霊感の強い女性から聞いた話。 「これまで色んな霊体験してきて、洒落にならんくらい怖い目にあったことってないの?」と尋ねたら教えてくれた。 俺が聞き伝えでこ…

アパートの磨りガラス(フリー写真)

同じ長さの髪の毛

ちょうど一昨年の今ぐらいの時期に起きた出来事。 大学のサークルの友人Aが、 「引っ越しをするので手伝ってくれ」 と言って来た。 お礼に寿司を奢ってくれると言うの…

坂道

時間が止まる坂

この話は私が小学2年生の時のことです。 クラスで仲の良かった友人が、興奮気味に「すごい場所があるんだよ!今日行こうぜ!」と誘ってきた。 その友人は普段から「宇宙人を見た」…