白いマフラー
公開日: 心霊ちょっと良い話
俺のじいちゃんは昔、パイロットだった。
若い頃のじいちゃんの写真は、白のマフラーを巻いて格好つけていて、でも本当に格好良かった。
俺もじいちゃんみたいな戦闘機乗りになりたかったけど、適性がなく結局は整備員になってしまった。
それで腐っていた俺にじいちゃんは、
「整備員はパイロットの命を預かってるんだからな、しっかりやれよ」
と励ましてくれた。
※
そんなじいちゃんも亡くなり、俺が初めて整備担当の飛行機を持った時、俺が整備した飛行機が空中で故障した。
パイロットから「コントロールが効かない」との連絡が入り、緊急着陸することになった。
でも着陸は一番難しい操作なので、大丈夫かと心配していたが、案外すんなりと着陸した。
飛行機を収容して不良箇所を探したが、異常な所はなく首を捻っていると、パイロットが来て言った。
「操縦が効かないって言った後に、俺の隣に人が居たんだ。
お前によく似て、パイロットみたいな格好してて、白のマフラー巻いてた。
その人が『大丈夫、ワシの孫の整備した飛行機じゃ。必ず無事に降りる』って言うんだよ」
それを聞いて、俺は持ち歩いているじいちゃんの写真を見せたら、
「ああ、この人。お前、いいお祖父さん持ったな」
と言ってくれた。
それ以降、
「あいつの整備した飛行機は落ちない」
と評判になり、パイロットからの信頼も得ることが出来た。
お陰で今も整備士やっています。