人形の右手

廃屋(フリー写真)

私が幼稚園児の頃の話。

幼稚園の隣に木造二階建ての廃屋がありました。

当時の私はその建物(隣接大学の旧校舎らしい)が何なのか判らず、ただ先生の

「あそこで遊んではいけません」

という言葉を無視して、毎日のようにその廃屋で友達とかくれんぼをしたりして遊んでいました。

その日もまた、友達数人とかくれんぼをしていました。鬼はA君です。

A君は廃屋の外で数を数え、私達は一斉に廃屋内に自分の隠れ場所を探しました。

私は2階の部屋にある、アップライトピアノと積み上げられた段ボールの間(鍵盤の下側の空間)に隠れました。

暫くすると、二階に昇って来る足音が聞こえました。

足音は私の居る部屋とは反対にある部屋へ向かって遠ざかって行きます。

息を潜めて隠れていると、あの足音が私の居る部屋に向かって近付いて来ました。

部屋に人が入る気配を感じ、更に身体を低くして隠れました。

「どこー? どこー?」という声が、段ボールを隔てた向こう側から聞こえました。

あれ? これ………誰の声?

私はその声に聞き覚えがありませんでしたが、鬼役のA君の声ではない事は分かりました。

ただ、当時の私達には『遊び(かくれんぼ等)の途中から参加した人は、最初は鬼をやる』というルールがあったため、誰かがA君と入れ替わって鬼をやっているのだろうと思いました。

鬼は「どこー? どこー?」と繰り返しながら、部屋の中を歩き回っています。

結局私は見つからないまま、鬼は部屋を出て行きました。

どれくらい時間が経ったでしょうか。

「おーい!B君(私)とC君!!降参だから出て来てー!」

と、A君の呼ぶ声がしました。

『やった!勝った!』と思い一階へ降りて行くと、玄関の入った所に、A君と見つかった数人の友達が立っていました。

A君は私を見るなり、

「B君、今日は二階は禁止っていったじゃん!!見つかる訳ないよー」

と言うのです。

人数が少ない時は二階を禁止して一階だけでかくれんぼをする時もあったため、私は

「え? そうだった?ゴメン…」

と謝ると、

「でも、さっき二階に誰か探しに来たよ。A君、誰かと鬼替わったんじゃないの?」

と聞きました。

「え? 鬼は僕だよ。誰とも替わってない」

とA君。

「あれ? C君は?」

誰かが言いました。最後まで見つからなかったのは、私とC君です。

その場に居た全員で「Cくーん!!」と呼ぶと、目の前の廊下の床下が「ガバッ!!」と開きました。

出て来たのはC君です。

そこが収納スペースだったのか、単に床板が脆くなって外れたのかは覚えていませんが、C君は廊下の床板を持ち上げ、その下のスペースに隠れていたのです。

「そんな所に隠れてたの!? すげえ!」

と皆が声を上げました。

次の瞬間、

「わぁーーーーーーっ!!」

という悲鳴を上げて、C君が駆け寄って来ました。

C君は自分が隠れていた床部分を指差し、

「あれ、何だよ!」

と怯えています。

私達は廊下にポッカリと空いた穴に近寄りました。

真っ暗な穴の中を玄関から入る陽の光で照らして覗き込むと、そこには3センチ程の小さな『人形の右手だけ』がギッシリと敷き詰められていました。

私達は悲鳴や驚嘆の声を上げ、一斉にその場から逃げ出しました。

それ以降もその廃屋で幾度となく遊んだとは思うのですが、もう全く覚えていません。

人形の手が、何故あんな場所に、あんなに大量にあったのかも判りません。

ただあの床の穴を覗いた時の光景は、今でも鮮明に覚えています。

そして今では、「どこー?どこー?」という声の主は、あの右手を探していたのではないかと思っています。

廃屋

廃屋での恐怖体験

小4の時の話。 多分みんな経験があると思うけれど、小さい頃って廃屋があると聞いただけで冒険心が疼いて仕方ないと思うんだ。 俺自身もあの日は家からそう遠くない場所に、まだ探検…

山の小道

廃道の先に

20年程前に俺が体験した、今だに信じられない話を書こうと思います。 と言うのも、俺の周りには超常現象的なものに詳しい人物が全くいないので、今から書く実際に体験した出来事を一体どう…

焼いてくれ

俺が昔、火葬場でバイトしていた時の話。 ある日の朝に斎場(火葬場)の玄関を掃除してたら、黒い SUV車が入ってきて、成金な感じで時計もフランクミューラーなんかしてるおっさんが車か…

呪詛

相も変わらずこのスレは荒れてるようで。 怖い話の怖さとは、それを見聞きする環境にも左右されるのはご存知の通りだと思いますが、現在のスレのような状況では、仮に良質な話が投下されたと…

工事現場(フリー写真)

持ち出された藁人形

俺は建設会社で現場作業員をしています。 ある年の年末、道路工事の現場で働いている時の事でした。 一日の作業を終えてプレハブの現場事務所へ戻ると、ミーティング時に使う折り畳み…

放射能記号(フリー素材)

原発並み

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 当時、女友達Bの元彼氏(E)に聞いた小話を思い出したので投下します。 ※ 以下はこれ…

叩いている

高校の時、仲の良い友人が「週末、家に泊まらない?」って誘ってきた。 「親もいなしさ、酒でも飲もーぜ」って。 特に用事もなかったけど、俺は断った。 でも、しつこく誘って…

ふたりの父親

4~5歳くらいまで、父親が2人いた。 それも、浮気とかじゃなくて、同じ父親が2人。 意味が分からないと思うけど、顔形は全く同じなのに目つきだけが異様な感じがする、とにかくこ…

ハサミ

ハサミ女

近所に「ハサミ女」と呼ばれる頭のおかしい女がいた。 30歳前後で、髪は長くボサボサ、いつも何かを呟きながら笑っている、この手の人間の雛形的な存在。 呼び名の通り常に裁ちバサ…

呪いの連鎖(長編)

呪いって本当にあると思うだろうか。 俺は心霊現象とかの類は、まったく気に留める人間じゃない。だから、呪いなんか端から信じていない。呪いが存在するなら、俺自身この世にはもう居ないは…