親猫の導き

公開日: 心霊ちょっと良い話

猫(フリー写真)

アパートで一人暮らしを始めた頃、アパート周辺を猫の親子がうろついていた。親猫と仔猫四匹。

私はどういう訳か親子に懐かれた。

アパートでは飼えないので下手に餌をやるのは避けていたが、偶に撫でてやったりしていた。

ある日の夜、玄関のドアからカリカリ音がする。開けてみたら親猫がいた。

猫はにゃーにゃー鳴いて、どうも『付いて来い』と言っているように見えた。

取り敢えず外に出ると、親猫はアパート前の道路に出て、角を曲がった。

行ってみると、怪我した仔猫らがうずくまっていた。

びっくりして更に近寄ると、仔猫の陰にぐったりした親猫が。

もう『アパートじゃ飼えない』などという理屈は吹っ飛んでしまい、私は猫五匹を抱えて近所の動物病院へ走った。

獣医さん曰く、車に轢かれたようだ。

幸い仔猫は皆命に別状は無かったが、親猫は既に死んでいた。

私が見ても即死じゃないかと思う程ボロボロで、少なくとも私の所まで歩いて来られる状態ではなかった(足が二本ズタズタになっていた)。

霊だか生霊だか分からないが、親猫は仔猫を助けて欲しくて私を頼って来たように思えた。

翌日、私は大家さんに頭を下げ、仔猫の里親が見付かるまで飼う許可を貰った。

一匹は私の実家、一匹は友達の家に貰われて、残り二匹は今も元気に部屋で運動会中です。


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