介護の闇

dark_woman_by_blind_art

家には痴呆になった祖母がいる。

父方の祖母だが、痴呆になる前も後も母とは仲が良く、まめに面倒を見ている。

これは年末の深夜の話。

祖母の部屋から、何やらぼそぼそと呟く声が聞こえてくる。

時々祖母の独り言もあるけど、中から聞こえてきたのは明らかに祖母の声じゃない。

独り言とも違い、一定のテンポで押し殺したようにぼそぼそと呟いている感じ。

俺と祖母の部屋は一階の隣同士。気味が悪かったので足音を立てないよう静かに忍び寄ると、部屋の襖が空いている。

心臓がバクバクする中、細心の注意を払い部屋を覗くと

「しね、しね、しね」

と、枕元で呟いている母がいた。

死ぬ程怖かった。

関連記事

学校の校門(フリーイラスト)

校門を閉じる習慣

私の通っていた高校には、17時のサイレンが鳴ると共に、用務員の人が急いで校門を閉める習慣がありました。まだ下校のチャイムすら鳴っていないのに正門を閉めるのです。生徒はい…

アリス(フリーイラスト)

アリス症候群の恐怖

自分は小さい頃から「不思議の国のアリス症候群」の症状があった。時々遠近感が曖昧になったり、周りの物が大きくなったり小さくなったりする感覚に陥る。大抵の場合、じっとしてい…

胸騒ぎ

小学校のころ、塾の先生に聞いた話です。その先生は現役の大学生で、その大学の友人に妙な体質の人がいたそうです。仮にその友人Aさんとしますが、彼はごくたまにものすごく胸騒ぎ…

坊主斬り

飢饉の年の事である。草木は枯れ果て、飢えのために死ぬものが相次いだ。食人が横行し、死人の肉の貸し借りさえ行われる有様だった。ある日、寺の住職が庄屋の家の法事に招…

クレーマーの家系

うちの店によく来るクレーマーの家系が洒落怖だった。・学生時代のある日、父親が何の前触れもなく発狂し母親を刺し殺す・その後、父親はムショ入り前に「自分の車で」頭を轢き潰し…

クロスロード

1930年代に実在した伝説のブルースギタリストのロバート・ジョンソン。アコースティック・ギター1本で弾き語りをして、アメリカ大陸中を渡り歩いた。最初の頃の彼のギターテクニックは…

蔵(フリー写真)

漬物石

去年の7月のことだ。俺の祖父と祖母は老人ホームで既に他界していて、実家を管理する人がいなかったから、荒れ放題になってしまっていた。本来ならば、相続の関係で俺の母親の姉(…

山根ェ

大学時代、サークルの友人と2人で深夜のドライブをしていた。思いつきで隣の市のラーメン屋に遠出して、その帰り道にくねくねと蛇のようにうねる山道を通った。昼間は何度か通った…

赤模様

赤いシャツの女

二年前の今頃の話。その日、来週に迎える彼女の誕生日プレゼントを買いに、都内のある繁華街に居た。俺はその日バイトが休みだったので、昼過ぎからうろうろとプレゼントを物色して…

わたしはここにいるよ

俺が小学生の頃の話。俺が住んでいた町に廃墟があった。2階建てのアパートみたいな建物で、壁がコンクリートでできていた。ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボ…