最後の疑問
公開日: 心霊体験 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
最近友人は 2ヶ月間タイに行ってきた。
まあ、日本円で千円も出せば一泊できるような安宿に泊まったらしい。
どこの国でもそうなのかも知れないが、やはり日本人旅行者は狙われる。
一応部屋の鍵をロックし、窓の鍵もきちんと閉めた。
タイは湯船に入る習慣がないため、友人はシャワーを浴びていた。
鼻歌交じりで髪を洗っていた時、突然、声が聞こえた。
「あーあーあーあーあーああああああああぁぁぁあああああああああああ」
女の高い声。悲鳴…?さすがに焦った友人。声はすぐ近くで唸っている声だ。
怖い怖い怖い。風呂から出よう。
そう思って、風呂のドアノブを回したとき驚愕した。
下の方に知らぬ誰かの手が挟まっている。女の手。細い指。
友人は発狂寸前になったらしいが、なんとか理性を保ち、思い切りドアを閉めた。思い切り閉めた。
すると、その手はバッと引いて、部屋のドアをバタンと閉める音が聞こえた。
確かに人間である女の声であり、人間である女の手であった。
それでも、その少しはみ出している手を見た瞬間、気がおかしくなりそうになったと言っていた。
フロントに尋ねてみても、知らぬ存ぜぬの一点張り。
「人間だと思う、いや絶対人間だ」
俺には、自分にそう言い聞かせているようにも聞こえたが、何も言わなかった。
そして最後の疑問だけが残った。
なんで、部屋に入ることができたのだろうか…?