深夜の研究室

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

tumblr_mjoeluzgxm1s1mt5yo1_1280

今から数年前に卒論を書いていた頃、私は工学部の学生だったのですが、実験すら終わっておらず連日実験に明け暮れていました。

卒論の締め切りが迫り、実験の合間に卒論を書き、また実験をしてはそれを書き足していくという、今から考えればぎりぎりの事をしていたと思います。

私の研究室では、ついに私だけ卒論ができていない状況で、かなり焦りがありました。

締め切りの前日になってやっと大筋を書き上げましたが、最後に確認実験が残りました。

明日提出ですので、卒論を清書しながら行いました。

実験は待ち時間が多く(反応に数時間とか)、トータルで一晩かかります。

泊まり込みで実験を行い、その合間に清書を仕上げ、そのまま明日提出するつもりでした。

学科内でも最終日まで卒論が出来上がっていなかったのは私だけのようで、学科棟は私一人だけになりました。

さすがに一人だけになると心細くなりましたが、廊下の明かりも隣の研究室の灯りも点けて行いました。

確か深夜3時頃だったと憶えています。確認実験が終了して、論旨に誤りの無いことが確認できました。

清書していた卒論も大きな変更もないことで、そのまま若干の書き入れをして終了です。

その時、研究室の入り口に私と同輩ぐらいの見知らぬ男性が、こちらを見ていることに気づきました。

学科内の人間なら全員知っていましたが、全く知らない男性でした。

他の学科の人間が誰か知り合いにでも会いに来たのかなと思いました。

目が合ったので「お互い大変だね」と言ったと思います。

実はその後どうなったのか記憶にないのです。

どうやら私は確認実験を行った後、机で寝てしまったらしく、その前後のことがはっきりしていません。

ただ彼が青い縦にストライプのシャツを着ていたことは覚えています。

目が覚めたのは、周りがうっすらと明るくなり始めた朝6時ごろでした。

卒論もちゃんと仕上がっており、記憶が曖昧ながらあれからちゃんと仕上げたんだなと思いました。

ところで、いつ寝てしまったんだろうと思いました。知らない人が廊下から覗いていて…。

そこで気が付いたんですが、学科棟の鍵は最終の私が預かっていて、内側から22時頃に閉めたはずなので、誰も入って来られないはずなんです。

怖いと言うより不思議という気持ちしか湧きませんでした。

朝になり、8時頃に研究室に出てきた同輩に話したところ、鍵のかかっていない出入り口から誰か進入してきたんじゃないかと言う話でした。表玄関以外に出入り口はありますし。

博士課程の先輩に話したところ、うちの学科には昔自殺した人間がいたからそいつじゃないかとか言われました。

しかし別に怖い思いをしたわけではありませんので、幽霊とかではないと思いました。

一応調べたところ、昔、本当に自殺した学生がおり、失恋で排ガス自殺をしたとのことでした。

調べたのは地方新聞でしたが、記事の中には “第一発見者が青い服を着た○○さんを発見した” という記述がありました。

私自身全く怖いという思いをしていませんし、彼を見た前後の記憶が実に曖昧で、夢じゃなかったかとの思いもあります。

ひょっとしたら先に以前自殺した学生がいるという噂を聞いており、そのような思いこみをしたのかもしれません。

ただ私自身の中で、未だに一体何だったのか判らない不思議な出来事です。

関連記事

不気味なカセットテープ

今から10年程前、俺が通ってた中学校はA県M市M中学校だった。 恐山のある街を検索すれば判ると思う。 校舎は3階建てで、職員室側と教室側に分かれてた。 職員室側は1階…

自殺団地(長編)

高校時代、俺は10階建ての団地の10階に住んでいた。 その団地は凄く有名で、別名が「ヤンキー団地」とか「自殺団地」とあまり良い名前がついてなかった。 団地は10階建てと13…

立ち入り禁止の波止場

友達の怖い話。 仮にK君としよう。彼は沖縄出身で、若い頃は結構やんちゃなやつ。 「本当におばけなんかいるのか? じゃあ、試してみよう」なんて言うやつだった。 例えば夜…

嫌がらせ

心霊とは関係ありませんが、かなり恐かった話です。 彼の元カノに嫌がらせをされていました。 着歴が毎日100件を越えるほどで、警察にも相談に行きましたが、相手にされませんでし…

ホテルの部屋(フリー写真)

真っ黒い塊

2年程前の話です。 広島から都内の会社の内定式に参加した私は、そのまま会社近くのビジネスホテルに一泊する事にした。 そのホテルは1階と2階が証券会社。3階と4階が客室。5階…

古いアパート

アパート101号室

昨年夏に放送された深夜の特別番組「超オフレコの恐怖体験」は、その名の通り、心霊現象が囁かれる物件を取り上げ、視聴者に寒気をもたらした一夜でした。 伝説に包まれたある古びたアパー…

みちかさん

親戚に霊能者と呼ばれている人がいる。 彼女の地元ではそれなりに有名で、本名とは別に、近所の人は彼女のことを「みちかさん」と呼んでいた。 なんでも”身近”と”未知か”、”道か…

太平洋戦争

大東亜トンネル

これは自分が大学生だった時の話だ。 当時やんちゃだった自分は、よく心霊スポットに出かけていた。 ある日、遊び仲間の友達が「すぐ近くに幽霊トンネルがあるらしい」と教えてくれた…

お婆さんの願い

会社の仕事を終え、夜の帰り道。 最寄り駅から自宅まで歩いていると、帰路途中の家のドアが開いていて、お婆さんが手招きをしていた。 『高いところにあるものを取って欲しいとか、そ…

コンビニ

大晦日の白い影

1999年の大晦日、深夜の出来事です。 私は煙草を買うため、少し離れたコンビニへ出かけました。 住んでいる地域は田舎で、昔の街道筋を思わせるような古めかしい木造建築の家が…