自分の名前で検索
公開日: 死ぬ程洒落にならない怖い話
自分の名前(A子)で検索をかけてみた。
すると、10件ほど同姓同名の人たちが検索に引っかかった。
研究者や会社の経営者、同じ名前でありながら全然別の生活をしている人たち。
その中に「A子のページ」というホームページがあった。
それは、プロフィールと掲示板だけの、初心者が作った感じのよくある個人ホームページだった。
プロフィールを見ると、自分と同じ歳であり、趣味なども良く似ている。
掲示板を見ると、常連っぽい人が5~6人いるらしく、この手のホームページとしてはまあまあ流行ってる感じだった。
何となくお気に入りに登録して、時々見るようにした。
しばらくすると、コンテンツに日記が増えた。
日記は、まあ、そのへんのサイトによくある内容の薄い日記だ。
今日は暑かったとか、日本がサッカーで勝ったとか、そんな感じの。
※
ある時、日記の内容が自分の生活とよく似ていることに気が付いた。
初めに気が付いたのは野球観戦に行ったときだ。その日、そのサイトの管理人も同じ球場に行ったらしい。
その時はもちろん偶然だなとしか思わなかった。球場には何万人もの人間が行くのだから。
次の日の日記には、会社でミスをしたことについて書いてあった。
私もその日、会社でミスをして少々落ち込んでいた。
次の日も、その次の日も、よく見ると日記の内容はまるで自分の生活を書かれているようだった。
大半は「カレーを食べた」とか「CDを買った」など大した偶然ではない。
しかし、それが何ヶ月も続くと気味が悪くなってきた。
ある日、掲示板を見ると常連たちが管理人の誕生日を祝っていた。
その日は私も誕生日だ。
それでいよいよ怖くなってきて、初めて掲示板に書き込みすることにした。
しかし、書き込みしようとしても、名前や内容を書くところに文字が打てない。
色々やってみるが、書き込めないどころか文字すら打てない。
『おかしいな』と思っていると、あることに気が付いた。
それは掲示板ではなく、ただのページだった。
つまり、1人の人間が掲示板っぽく見せかけて作ったただのページだったのだ。
『いったい何のためにこんなこと…』とすごく怖くなり、管理人にメールを打った。
「初めまして。私は貴方と同姓同名の人間で、よくこの…」のような当たり障りのないメールだ。
そして次の日、そのページを見ると、全て消されていた。
メールボックスには一通、
「見つかった」
という返信があった。