有名な家

公開日: 不思議な体験 | 心霊体験 | 怖い話

P1030072x

もうかれこれ10年前の話。当時、まだ自分は9歳だった。

諸事情で祖母と二人暮らしをしていたが、小学生半ばの頃に母親とも一緒に暮らすことになった。

それまで祖母とは小さな漁師町に住んでいた。転校するのは嫌だったが、母親が住んでいる町に引っ越す事にした。

母親は団地に住んでいたので、三人で暮らすには手狭ということで一軒家を借りることになった。

暫くして町の不動産さんに紹介され、家族三人で内見に行った。

小学校からも遠くない、道路にも面しているし小さいながらも物置がある。駐車場もあった。築20年位に感じた。

まだその家には人が住んでいたが、契約が決まり次第退去、引っ越しの手筈だった。

しかし、玄関に入ると不気味な仏像が100体以上並べられていた。

「どうぞ自由に見てくださいね…」

中から出てきたおばさんの目は明らかにおかしく淀んでいた。仏像を見て自分は怯えてしまい、内見どころではなかった。

「早くこの家から出なきゃいけない」

何故かそう感じていました。

母は2階を見ると言い、自分も付いて行きましたが、後悔しました。

2階は不思議な造りで、大きな部屋が衝立で仕切られ、かろうじて部屋らしき物を形造っていました。

そして何より、窓が沢山あり南向きなのに、寒い。そして暗い。

黒いもやが部屋中に綿ぼこりのようにいて、母にも何なのか聞こうとした瞬間、

「家から出るまで喋ってはいけない。悪い物だから。お前に付いて来たがってる」

そう小声で言われ、自分はもうパニックでした。

黒いもやはゆらゆら、ふわふわと浮いており、何となく私達に近付いている気がしました。

それに気づいたのか母は陽気に喋りまくる不動産屋にもう内見はやめて帰る旨を伝え、一階に向かいました。

玄関で靴を履きながらちらりと居間を見ると、夥しい数の仏像が所狭しと居て…もう駄目だと思いました。

玄関を出て、不動産屋さんはしきりに母に契約を迫っていました。しかし、母は断り続けていました。

ちなみに付いて来た祖母は私達の車の中から出ては来ませんでした。

そして母は不動産屋さんに言ったのです。

「あんた知らないって思ってるでしょ? ここで首を吊ったお爺さんが二人もいるじゃない。なんて物件紹介してくれてんのよ」

全く意味が解らない私は「何が? 何が!?」と母に詰め寄ると、母は駐車場を指差し、

「ここで吊ってる。元はここ物置でしょ? 自殺があったから壊して隣に物置を建てた。そういうこと。

契約はなかったことにして。こんな家に居たら住んでる人みたいにおかしくなっちゃうわ」

そう吐き捨てるように言い、母に手を引かれ車に乗り、不動産屋さんを尻目に車を走らせました。

祖母は、

「なんて家だろうね…土地がよくない。首吊り自殺した爺さんがぶら下がって、あんたたち見下ろしてて不気味ったらあらしゃないわよ」

その言葉に母も返しました。

「爺さん二人だけじゃないよ。家の中でも少なく見積もっても二人は死んでるよ。

2階なんて最悪。○○○(難しい言葉で聞き取れませんでした)がいっぱいいるのよ?

不動産屋なんて普通にしてるの。見えないって得だね。

この子は引き寄せ易いから、家帰ったらあれしなきゃね」

そんな会話をしながら母の団地に着き、すぐさま私は日本酒が入ったお風呂に入るように命ぜられました。

あれとはお清めのことだったようです。

その後、祖母により何か御祓いのようなものをされた記憶があります。

私の家系は視えるようです。祓い方なども一通り習いました。

その一件後、知り合いの伝手で一軒家を借り、無事引っ越せました。

その家にも何体かいたのですが、母は

「歩き回るばあさんと子供だけだから可愛いもんだよ」

と言っていました。

ちなみに、そのお爺さんが首を吊っている家は、本当に爺さんが首を吊っていました。

新しく引っ越した家のお隣りさんから詳しく聞きましたから…。

有名な家を紹介されたみたいです。

関連記事

アパート(フリー写真)

引っ掻く音

大学時代にアパートで一人暮らしをすることになった。そのアパートは、太陽の光が当たる二階の部屋と、駐車場に近い一階の部屋が空いていて、俺は駐車場が近い一階の部屋に住むことにした。…

ゼンゾウ

伯父が都内の西側にちょっと広い土地と工場の跡地を持っていたんだ。不況で損害を被った伯父は、これを売りたがっていたんだよ。と言っても伯父も金が無くてね。更地には出来なかっ…

アクァッホ(長編)

多分信じてもらえることはないだろうから、そういう創作物として見てくれれば幸い。まず交流に使った方法はチャネリング(日本でいうところの口寄せの術)。たまたま適当にネット漁…

ダル

小学校の頃、家族で山に行った時の話。俺はふとしたことで山道から外れ、迷子になってしまった。山道に出ようとしたけれど、行けども行けども同じような風景が続く。そのう…

廃墟

幽霊屋敷

高校を卒業するまで住んでいた街に幽霊屋敷があった。少し街外れの大きな土地に、広い庭と白い2階建ての家。2年程前にそれを建てて住んだのは四人家族だった。父親は大学教授。母…

疫病神

20年くらい前、高校生の時一人で留守番をしていたら、インターホンが鳴った。出てみると、乞食みたいなのが立っていて「この家には死神がついている」と言い残して立ち去っていった。それから…

青い花(フリー写真)

人が増える霊園

大学時代の友人が事故で亡くなって4年経つ。先週、サークル仲間で集まって墓参りに行ったんだ。田舎の小さな霊園だから、休日の昼間なのにお参りしてる人はあまり居なかった。 …

某宗教団体

某宗教団体(J・W)で、伝説的になっている話をひとつ書き込みます。ある姉妹(その教団内ではバプテスマ=洗礼を受けた女性をこう呼びます)が、王国会館(集会を開く場所)の周りで草刈…

存在しない廃墟

小学校低学年の頃に都内某区に住んでたんだけど、近所に有名な廃墟があった。ある日友人達数人と一緒にそこへ探検に行こうという話になって学校の帰りに行ってみた。でも、いざ到着するとみんな…

光(フリー素材)

異世界に続く天井裏

俺のクラスに新しく転入生の男子が来た。彼はいつも机に突っ伏して塞ぎ込んでいて、未だに友人は一人も出来ていないようだった。きっとクラスに馴染めずに大変なんだろうと考えた俺…