エスカレーター

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

1914110

私がビル警備員のバイトをしていた時の話です。

場所は都内のSデパートですが、当時でも既に一般的な設備は乏しく防火シャッターの開閉は勿論、エスカレーターやエレベーターの設定変更等も、中央管制で管理室から…という訳にはいかない処でした。

閉館になり、お客さんを導線に誘導し、Sデパート社員を無事に建物から追い出したら、店舗内の異常がないか確認をしながら巡回します。

そのデパートは、建物の構造上細長く、警備の巡回ルートもかなりの距離になります。

そのせいで、私がI号ES(エスカレーター)の前を巡回したのは、待機所に近いにも関わらず深夜1時頃でした。

モーターの動く音がするので、防火扉を開けて、中を覗いて見るとI号ESが起動している音でした。

私は管理室に無線で確認を取ると「メンテは入っていない、多分ES停止の担当者が停止し忘れたのだろう」とのことです。

ESの制動鍵は巡回者全員が所持しているので、当然ついでに止めておいて欲しいと連絡を受け、恐らく仮眠室で眠りについている担当者に悪態をつきながら、私はいつものように鍵を差し込み停止ボタンを押して、ESを停止…停止…しませんでした。

古い建物です、設備もがたがきていても不思議はありません。そういえば、頻繁にI号ESはメンテをしています。

私は再び管理室に無線を入れました。担当者は、したくても停止できなかったのではないのか、だとすると管理室に報告が入っているはずです。

しかし、帰ってきた答えは、「それならば、最初の連絡時に伝える」との事。そりゃそうです。止まらないのなら、それは仕方のない事です。私は対応を尋ねました。

すると無線のノイズとは別に、何やら異音が聞こえます。

からかっかっ…とクラッチを入れ損ねたような乾いた音。次いで、ごおん、ぐぎょぎょ…じゃり、じゃり…と濡れた砂利道を踏むような音がします。

私は、余りに場所にそぐわない突然のその音に、身動きが取れません。後で考えると音の中に、「…て…て…な…」と声が聞こえたような気がします。

呆然と立ち尽くしていると、突然I号ESは停止しました。

しばらくして、正気に返った私は事の次第を、I号ESが怪音を発しながら停止した事を管理室に告げました。

すると、整備業者に連絡をとったので、いったん待機室に戻り着き次第作業の立会いをするように言われました。最悪です。

1時間と待たずに業者は到着しました。

整備業者は、何も言わずI号ESに向かって行きます。私は管理室から連絡を受けたのだろうと思い、慌てて後を付いて行く格好になりました。

I号ESに着くと、おもむろに業者は整備ハッチを開け、ESの下に潜っていきます。

私は、黙ってES室から離れた場所に立ち会っていると、ほんの10分もしない内にごうん、ヴィーンと音を立ててESは私に向かって登るように動き出しました。

しかしその後待てど暮らせど、業者が出てきません。更に10分ぐらいすると、下の方から人影がESに乗って登って来るのが見えました。

私は、業者が下のハッチから出たのかと思い、「ご苦労様です、早かったですね」と声をかけました。しかし、確かに人影に見えたのに誰もいません。

ただ、空気が揺らいでESに人が乗っているかのように見えるだけです。私は、突然全身を恐怖に襲われて、動く事が出来ません。

口をパクパク上下させるだけで、声も出ません。

10分ぐらい固まっていたでしょうか、突然無線から応答がありそれを合図に全身の緊張が解け、カラダが動くようになりました。管理室からでした。

整備業者が到着したので、早く待機所に戻って来いと怒鳴っています。

え…?

後で聞いた話によると、I号ESは、以前整備中にESが動いて、ベルト(足を乗せるところ)巻き込まれて死んだ人がいるそうです。

その後も、1人同じように亡くなり、事故が絶えないESだそうで、整備業者の人も、作業を嫌がっていました。

時給は良かったのですが、これ以外のことも起き、私はこの仕事を早々に辞めました。

関連記事

青いテント(フリー写真)

青いテント

私は野生動物の写真を撮って自然誌に寄稿するという仕事をしていました。 夜間に山中の獣道でテントを張り、動物が通るのを待って撮影する。 また、赤外線センサーを用いて自動シャ…

悪魔の書

中学生の頃、俺は横浜に住んでたんだけど、親父が教会の神父やってたの。 神父にしては結構ざっくばらんな性格で、結構人気もあったんだ。 まあ、俺なんて信心深い方じゃないし、一家…

右腕と右足

自分がまだ中学生だった数年前に、近所の古本屋で漫画の単行本を数冊買って帰ったんです。 その時はある漫画のシリーズを5〜8巻まで通しで買ったので、家に帰って旧いのから順番に読み始め…

話しかけてきた人影

私の祖母は、亡くなるまでに何度もこの話をしていた。それは、私の父がまだ赤ん坊だったときのこと。 ロンドンが空襲に遭い、住む家を破壊されてしまった祖母は、友人の家に身を寄せることに…

旅館の求人

丁度2年くらい前のことです。旅行に行きたいのでバイトを探してた時の事です。 暑い日が続いていて、汗をかきながら求人を捲っては電話してました。 ところが、何故かどこもかしこも…

林道(フリー写真)

姥捨て山

俺の兄貴が小学生の頃、まだ俺が生まれる前に体験した話。 兄貴が小学5年生の春頃、おじいちゃんと一緒に近くの山へ山菜採りに入った。 狙っていたのはタラという植物の芽で、幹に棘…

医療器具(フリー素材)

謎のカルテ

これは2年前の夏、病院で夜勤中に体験した出来事です。 その日、私は夜勤をする救急室にて患者対応をしていました。 何台か救急車が入り、その内の1人が当院かかりつけの患者でした…

幽霊と…

5年ぐらい前、地方都市でホステスをしていた時の話。 一緒に働いている女の子で、自称霊感の強いMちゃんという子がいた。 最初は信じていなかったのだが、Mちゃんが「明日は外出し…

渓流釣り(フリー写真)

一人で泳いでいる男の子

去年、梅雨の終わり頃に白石川へ渓流釣りに行った時の事。 午前4時くらいに現地に到着して準備を終えました。 そして川に入ろうとした時に、川の方から子供の声が聞こえるのです。…

ピアノ騒音殺人事件

新興住宅地で起きた事件で、新興住宅地の欠陥が現れたものとして、有名なピアノ殺人事件を取上げる。 これは1974年平塚市で起きた事件で、当時大変話題になった事件であり、かつ過去に繋…