六甲山の牛女

ABBA-BULL-BW600

六甲山に出る牛女って知ってる?

実際それを見た人に話を聞いたよ。『牛女』にも色々種類あるらしいけどね。

走り屋の間の噂では、牛の体に女の顔(般若という話もあり)で、車の後を猛スピードで追っかけてくる『牛女』。

あと、丑三つ時になると出る女の幽霊で『牛女』。

最後に、女の体に牛の顔の『牛女』。私が聞いたのはこの牛女の話。

体験者は友人の両親だ。

4年程前のお盆の頃。2人は弟夫婦と共に、墓参りのため実家に帰省した。

4人は墓参りをし、実家で夕食を済ませてから帰ることにした。

他の3人は酒を飲んでいたので、おばさんが運転手、助手席にはおじさんが、後部座席には弟夫婦が乗り込んだ。

実家を出たのはもう真夜中近くだった。

しばらく山道を走っていると、前方の道沿いに畑がある。

『あれ…?』

道路のすぐ横、畑の畦道に、着物を着た老婆が座っている後姿が見えた。

首をうなだれ、背中だけが見える。

「こんな時間におばあさんが畑にいるなんておかしいわね」

後部座席の弟夫婦とそんな会話を交わし、スピードを緩めた。

老婆はこちらに背を向けたまま、身動ぎもしない。

そして老婆の真横に来た瞬間、座っていた老婆が、くるりとこちらに顔を向けた。

3人が悲鳴を上げる中、突然エンジンが止まった。

牛女が助手席側の窓を叩いた。

バァーーン!!

「きゃぁーーっ!早く車だして!!」

おばさんは震える手で何度もキーを回すが、エンジンは一向にかかってくれない。

「なんや!なんの音や!」

おじさんが叫ぶ。

「なんでみんな騒いでるんや!?」

「なんでって、あなたには見えないの? 真横にいるのに!」

「なにがおるんや!? なんで止まってる!?」

バーーーン!!

「牛の顔の老婆が窓を叩いてるのよ!!」

「そんなもんおらん!」

「いるのよ!そこに!あなたの真横に!」

バーーーーン!!!!

何度やってもエンジンはかからない。

「どけ!かわれ!」

おじさんが運転席に移り、キーを回した瞬間、嘘のように簡単にエンジンは回りだした。

「はやくだして!」

牛女は追っては来なかった。

それから里帰りの度にその道を通るが、『牛女』に会ったのはこの一度だけだったそうだ。

「信じられへんような話やろ? でもこれ読んでみ」

一緒に話を聞いていた友人(体験者の子供)が、1冊の本を差し出した。

『太平洋戦争末期、西宮が空襲に遭った。

牛の屠殺で栄えていた家が焼かれ、その家の座敷牢から頭が牛、少女の体をした物が出てきた。

”それ”は周りが見つめる中、犬を食っていた…』

時間の経過と共に、牛女もまた、人間と同じように歳を取っていったのか?

ではなぜ、見える人と、見えない人がいたのだろう?

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