庭にあるお墓

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

古民家(フリー写真)

そんなに怖くないかもしれませんが、私の体験談です。

埼玉県のとある地域に住んでいるのですが、何代も前から住んでいる人たちの間に、ある習慣があります。

それにまつわるお話です。

ある家の敷地の隅には、お地蔵さんが二体置いてありました。

車でいつも通り掛かるのですが、私が

「お地蔵さんかわいいね」

と言ってにこにこしながら覗き込むと、供えてある風車が回ったりしていました。

何だか嬉しかったです。

母は、

「これね。墓なのよね…」

と何故か言い出し、私は『墓なのか~』くらいに思っていました。

寺社などが大好きな私が期待するように、信心深さからお地蔵さんを置いた訳では無いとのことでした。

この辺では、自分の家の庭に先祖代々のお墓を作る家が稀にあります。

2年前に亡くなった『視える人』だった母は、良くないことだと言っていました。

当時の私は『何でいけないの?』という感じだったのですが、色々あってからはそう思うようになりました。

近所のショッピングモールに行く時は、ちょうどその家の前で信号待ちをすることが多いのですが、母は私がお地蔵さんをじっと見るのを怖がっていた様子。

私は何故か見ちゃうんですよね。見るのが楽しかったのです。

母「それ凄く怖くない? お母さんちょっと駄目だわ。あら嫌だ。居るわよ」

私「ちゃんと供養してるんじゃない? 庭にあるお墓なんだし。嫌な感じもしないよ。霊が居るんだー。へー」

母「この家の人、これ怖いんじゃないかなぁ?」

私「自分の先祖でしょ。怖くないんじゃない?」

母「そうかなぁ。この家の人、これ怖くないのかな…」

などと話をしていました。

何故かその家では妙にお葬式が多かったです。しょっちゅうやっていました。

葬式中に通り掛かったこともあるし、お地蔵さんの前を通る時に母が、

「また入ったね。ここの墓。新しい人が…この家の人だね」

と言うので、そうなのかなと思っていました。

大体一年に、一人かそれ以上は亡くなっていたと記憶しています。

よく考えてみると、凄いハイペースだなと思いました。

ある時、この家の人を見たことがあるのですが、何だか変なことをしていました。

スラッとした背の高い眼鏡の50歳くらいの女の人が、お花を持ちドアから出て来ました。

目の悪い子供のように目を細めて、じっとお地蔵さんを見ていました。

お地蔵さんの方へ行くと見せかけて止まったり、いつまでもじろじろお地蔵さんを見ていました。

私「変な人だね」

母「あの人さぁ。見えてるんだよ…」

私「えっ!!このお墓の中の人、そんなに怖いの? わたし全然怖くないよ。この家の人がびびってるの?」

母「ねっ。ここの家の人は怖がってるって言ったでしょ」

私「ねぇ。早く帰ろうよ」

母「信号変わらないでしょ!そういうこと言ってると、こういうことで(霊で)事故るよ。みんな結構見えるところで事故るんだよ」

私「お母さんってそんなに霊感があるの?」

と、母にびっくりしながら帰りました。

母曰く、

「あのお墓じっと見てると、お墓に入っちゃうよ。

お母さん、あのお墓怖いって言ったでしょ。あの家の人も怖いと思う。お墓に入るの怖いでしょ?

あの家の人もそれが怖いんだよ。何で庭になんて埋めるんだろう。あんなことしなきゃ良いのに」

と言っていました。

そう言えば、車で通り過ぎる時に母は、

「やらない!!やらないよ!!!」

と叫んだり(私が危なかったのでは…と思います)、ハンドルを叩いたりしていました。

この時は半信半疑でしたが、一年後くらいに、お嫁に行ったお姉ちゃんが遊びに来ました。

ショッピングモールの帰りに、その家の前にて、

姉「えっ。ちょっと凄い沢山居るよ。何でなの?」

母「あれね。お墓なの。この家の人がみんな居るの」

姉「どうしてこんなところに。うーわ墓かよ。ちょっと普通じゃない。勘弁してよ。早く行こうよ。やばいよ!!」

車が動きました。

私「どんなのが見えるの?」

姉「ちょっと凄い怖いものが見える。沢山居る。あれは怖いわ。つ、付いて来てる。ぶっちぎって!!!」

私「事故るよ」

姉「いーから。ぶっちぎって!!今すぐ!!」

などという遣り取りを二人がやっていたので信じました。

それにそこの家は「庭の墓に霊が出る」「妙に葬式が多い」と付近の噂になっていた家だそうです。

その後、母が末期がんで他界したのですが、死ぬ数日前に私が、

「あの家のお墓を私が覗いたせいで、お母さん病気になったの?」

と聞いたら、

「違う。お母さんを庭には埋めないでね」

と言っていました。

母の四十九日の前日、お父さんに

「お母さんをお墓に入れないで、押入れに置いておかない? お墓に入れちゃうの寂しくない?」

と言ったら、お父さんはびっくりした顔で、

「あの家の人と同じになる。お母さんは、庭に埋めるなって言ったでしょ?」

と言っていました。

結局、公園墓地内のお墓に入れました。押入れなども駄目らしいです。

死んだ人とは一線を引いた方が良さそうです。

ちなみにあのショッピングモールには、道中が怖いので暫く行っていません。

なので、あの家の人がどうなったのかも判りません。

町中にああいうものは無くして欲しいです。

山の中じゃないんだし。みんな怖がっているし…。

関連記事

夜のキャンプ

バックミラーの男

私の妹が体験した話を書かせていただきます。 以前、海へキャンプへ行った時のことです。 そこは自然のビーチで、近くには御手洗い等がなく、御手洗いに行きたい時は、少し離れた港…

青木ヶ原樹海(フリー素材)

青木ヶ原樹海探索記

自分は卒業旅行で富士の樹海に行った大馬鹿者です。 わざわざ九州から青春十八切符を使い、普通列車を乗り継いで…。 とにかく幽霊を見たいという目的で、友人と二人で二日掛けてのの…

田舎の古民家(フリー写真)

4歳年下の妹

私が中学生の時のことです。 夏休みの終わり頃、白い服を着た女の子が頻繁に家の中に現れるようになったのです。 それも昼夜問わず、私が一人の時にばかり現れるのです。 怖…

小さな鍾乳洞

少し昔……と言っても15年以上前の話になる。 俺の地元には小さな鍾乳洞がある。 田んぼと山しかないド田舎だったので、町としても鍾乳洞を利用して観光ビジネスを興そうとしたらし…

心霊スポット巡り

今から約10年くらい前の話だ。 当時俺は大学2年で、夏休みに田舎に帰省していたんだ。俺の田舎は観光地ではあったが、地元民向けの遊びスポットって少なかったんだよね。 夜に遊ぶ…

占い師

昔、姉夫婦と私と彼氏の4人で食事した帰りに『この悪魔!!!』って女性の叫び声が聞こえた。 声のする方向を見ると、路上で占いしてる女性が私に向かって指を差して『悪魔!!悪魔ああああ…

姉からの着信

実家に帰省したある夏休み。 夜中の3時に自分の部屋でネットをしていた時、私の携帯電話に姉から着信があったの。 姉は廊下を挟んだ向かいの部屋にいるんだから、何か話したいのなら…

花(フリー写真)

連れて帰って来た子

小学3年生の時、友達の妹が亡くなった。 医療事故とのことですが、詳細は不明。 私もよく一緒に遊んでいたので、お葬式に行った。 ※ 家に帰ると、当時3才の弟が普段とは違う…

俺の曾爺ちゃんの話を書いてみようと思う。 と言っても、曾爺ちゃんは俺が物心付く前に死んでしまったので、爺ちゃんに聞いた話なのだけれど…。 更にそれを思い出しながら書くので、…

オフィスビルの窓(フリー写真)

落ちるおじさん

先日、大学の同期の友人と久々に食事した時の話。 友人は大阪に出て技術職、私は地元で病院に就職しましたが、勤めている病院は古く、度重なる増改築で構造はぐちゃぐちゃ。 偶に立…