次は仲町台
就職活動で疲れ果てた私は、横浜地下鉄で眠りについた。
目が覚めた時、降りる予定だった仲町台ではなく、終点で降りると外はまだ真昼だった。
終点の駅は近代的な真っ白なドーム型のホームで、駅名は理解不能な文字が並んでいた。
周囲には灰色の影のような人々がいたが、知っている世界とは全く違っていた。
逆方向の地下鉄も見知らぬ漢字の駅名が並んでおり、外へ出る勇気もなかった。
しかし、エスカレーターを降りたら外に立っており、空はミカン色で、太陽が明るく輝いていた。
携帯電話で家に電話しても「間違っている」と告げられ、恐怖と就活の失敗感で涙が止まらなかった。
知らないおばさんに助けられ、角を曲がり地下鉄に乗って逃げるように走った。
乗った地下鉄は長いトンネルを走り続け、不可解なアナウンスが聞こえたが、やがて「次は仲町台」とアナウンスがあり、現実に戻った。
おばさんに渡された雑誌は20年前の「オリーブ」だったが、異空間の証拠とはならず。