時が止まった日

交差点

10年前、小学6年生だった頃の出来事。

学校から帰る途中、人々と車が突然止まり、時間が止まったような現象に遭遇。

突然、真っ黒な服を着た若い男女が現れ、声を揃えて「あ。」と言った。

私は恐怖を感じて逃げようとしたが、男に腕をつかまれて動けなくなった。

男と女は何か失敗したことについて話していた。

女は謝り続け、男はどうするかと困惑していた。

最終的に、男は私に何も言わないよう頼んできた。

女は反対したが、男が言い勝った。

男は私に何かを手渡し、「絶対に言うな」と念を押した。

私は約束し、家に帰った。

家に帰ると、時間が元に戻っていた。

居間で笑う母の声を聞いて安心した。

男にもらったものは透明で虹色のマーブル模様の飴だった。

好奇心に負けて食べてみると、今までにない美味しさだった。

その後、同じ飴を探して交差点をうろついたが、二度と会うことはなかった。

今でもその交差点を見ると、この不思議な体験を思い出す。

関連記事

見覚えのある手

10年前の話だが、俺が尊敬している先輩の話をしようと思う。 当時、クライミングを始めて夢中になっていた俺に、先輩が最初に教えてくれた言葉だ。 「ペアで登頂中にひとりが転落し…

お婆ちゃんの手(フリー素材)

牛の貯金箱

小学生の頃、両親が共働きで鍵っ子だった俺は、学校から帰ると近所のおばあちゃんの家に入り浸っていた。 血縁者ではないが、一人暮らしのばあちゃんは俺にとても良くしてくれたのを覚えてい…

神秘的な山(フリー写真)

サカブ

秋田のマタギたちの間に伝わる話に『サカブ』というのがある。 サカブとは要するに『叫ぶ』の方言であるが、マタギたちが言う『サカブ』とは、山の神の呼び声を指すという。 山の神…

草むら

茶室のような小さな扉

うちの近くに、高い草が生い茂る空き地がある。日が差し込みにくく、常に薄暗いその場所は、不気味な雰囲気を漂わせている。 そんな空き地は、小中学生にとっては絶好の肝試しスポットとな…

体育館

時代を越えて

俺が小学生だった頃、早朝一番乗りで体育館でシュートの練習をしていたら、いつも体育館のステージの袖に見知らぬハゲのおっさんがいることに気が付いた。 近眼でよく見えないし、その時は先…

タヌキの足跡

神棚のタヌキと姉の運

俺の姉は、昔から“運が良い”と評される人間だ。 宝くじを買えば、ほぼ毎回のように当たりが出る。とは言っても、夢のような3億円といった大当たりではない。大抵は3,000円。あまり…

庭の地面

記憶に刻まれた「一度目の死」

物心がついた頃から、私はこう語っていた。 「僕は一回、死んだんだ」 幼い子どもの妄言と思われるかもしれないが、私は本気だった。というより、その“死んだ記憶”は今でも鮮明に…

医師(フリー写真)

夢の中の治療

俺の従兄弟の話を一つ。 非常に仲の良い従兄弟が、25歳の時に末期がんになった。 人間として凄く見応えのある人物だっただけに、身内一同とても落胆した。 従兄弟には当時付…

山道(フリー素材)

上位の存在

厳密に言うと、この話は俺が「洒落にならない程怖い」と思った体験ではない。 俺の嫁が「洒落にならない程怖い」と思ったであろう話である。 俺の嫁は俗に言う視える人で、俺は全くの…

体育館

球状の異物

9年前、私が20歳で初めて選挙に行った日のことです。投票所は私の母校である小学校の体育館で、卒業式以来の訪問でした。体育館に入ると、記憶と違って狭く感じ、「こんなに狭かったかな?」と…